アドビ、Adobe Experience CloudにおけるAI搭載機能の利用状況および新機能を発表
先進的なアプリケーションを提供するAdobe Experience Cloudのお客様のうち、80%以上がデジタルモダナイゼーションを推進するためにAI搭載機能を利用していることが明らかとなりました。
アドビは本日、先進的なアプリケーションを提供するAdobe Experience Cloudのお客様のうち、80%以上がデジタルモダナイゼーションを推進するためにAI搭載機能を利用していることを発表しました。アドビのAI/MLテクノロジーであるAdobe Senseiは、素晴らしい顧客体験を実現するために、組織全体にわたって簡単に適用できるインテリジェントなサービスを提供します。Adobe Senseiは、人のクリエイティビティと知性を増強することによって、デジタル体験の課題を解決することに特化しており、企業がより良いコンテンツを作成・設計し、ビジネスプロセスを加速させ、顧客体験をパーソナライズできるよう支援します。
Adobe Sensei搭載の機能群は、アドビのエンタープライズアプリケーションの標準機能として組み込まれているだけでなく、Adobe Experience Platformを介して追加のAI-as-a-service(サービス化されたAI)機能として利用することもできます。アドビが提供する、開発なしで直ちに利用可能なソリューション群は、IT部門のみならず、マーケティング部門であってもマーケター、コンテンツストラテジスト、ビジネスアナリストの手で容易に導入でき、パーソナライズされた顧客体験を大規模かつリアルタイムに、最適化して提供できるようになります。
これにより、タイムリーなクロスチャネルキャンペーンの開発と提供、特定の顧客行動に影響する要因の正確な把握、顧客が起こす次のインタラクションの予測、Eコマースにおけるインテリジェントな商品提案、そのまま本番環境で利用可能な高品質コンテンツの迅速な作成、カスタマージャーニーを構成するすべてのタッチポイントにおけるマーケティング効果の定量化などが可能になります。
IDCのマーケティング&セールステクノロジー担当リサーチディレクターであるジェリー マレー(Gerry Murray)氏は、こう述べます。「AIに関して企業が直面する最大の課題は、最適なユースケースを特定し、アルゴリズムとデータフィードを適切に設定、実装、管理することです。アドビは、AI/MLの機能をAdobe Senseiを介してExperience Cloudアプリケーションに組み込むことでのような課題を簡素化しました。これにより、マーケターやデータサイエンティストが、顧客の行動を学習しながら適応していく魅力的な顧客体験を迅速に設計、提供できるようになります。」
マーケティング予算配分のための新機能「Marketing Mix Modeling」
今日、企業が直面している課題の1つとして、さまざまなマーケティング施策それぞれの最適な予算配分を正確に予測することが挙げられます。将来の戦略を考える上で、過去データの分析は非常に有効ですが、デジタル化が大幅に加速している現在、企業は現況にすばやく対応してスピーディーに戦略を進化させなければなりません。Adobe Senseiを搭載した新機能「Marketing Mix Modeling」は、オンラインとオフラインの両チャネルにおける予算配分を正確に予測・最適化し、ビジネス目標を確実に達成できるようにします。さらに、予測から導かれたインサイトは、アドビの「Attribution AI」サービスで収集した過去のパフォーマンスデータと組み合わせることができるため、マーケターは特定のマーケティングタッチポイントの増分効果を定量化できます。これにより、包括的なマーケティング費用の最適化評価が可能になります。
Adobe Senseiで成果を上げている主な企業
- 半導体大手の NVIDIA は、Adobe Senseiを搭載した機能を使い、迅速かつ柔軟に適用できるデータサイエンスモデルを作成しています。自社イベントへの登録を促進するにあたり、マーケティングチームはAttribution AIを活用し、デジタルチャネルにおける過去のマーケティング投資の効果を分析しました。その結果を受けて検索連動型広告を最適化したところ、登録者数が500%増加しました。
- 地理情報システム企業の Esri は、Adobe Senseiの機能を活用し、営業とマーケティングの費用対効果を向上させました。Customer AIとAdobe Analyticsを組み合わせることで、同社は個々の顧客に関する予測的なインサイトを得て、購入する可能性が最も高い顧客に合わせてマーケティングメッセージを調整し、結果としてコンバージョン率が300%向上しました。
- 企業向けITサービス大手の DXC Technology は、Adobe Experience PlatformのData Science WorkspaceでMLモデルを構築し、自社サイトでの顧客体験を効率化しています。70か国に13万人以上の従業員を抱えるDXCでは、webサイトからの問い合わせを、営業、IT、人事、その他の適切な部門に確実に転送する必要があります。そのため同社はAdobe Senseiの機能を活用して問い合わせフォームの入力内容を解析し、どの部署に転送するかをリアルタイムに検出するモデルを構築しました。
- 大手モータースポーツ統括団体 NASCAR は、ファンの体験を向上させるために、いちはやくAdobe Senseiを搭載した機能を採用しました。同社はAdobe AnalyticsのAdobe Sensei機能を使い、デジタルチャネルで最も頻度が高いカスタマージャーニーを特定したうえで、それに応じてファン体験を最適化しました。これにより、NASCARのプラットフォームでのビデオ視聴回数は前年比で18%増加し、モバイルアプリへの訪問回数は16%増加するという驚くべき結果が得られました。また、人気のあるコンテンツをより多くファンに提供することでエンゲージメントを向上させ、デジタルチャネルでの滞在時間は前年比10%増となりました。
- 世界的な郵便処理システム企業の Pitney Bowes は、Adobe Experience Cloudアプリケーションを活用し、複数の国にわたる配送、郵送、物流、金融サービスの提供を拡大しています。Adobe Analyticsは、複数のマーケティングチャネルにまたがるリアルタイムの顧客データにAI/MLを適用し、共通するパターンを見つけて顧客行動を予測します。例えば、Experience Cloud導入以前は、1日あたり顧客注文の障害が30件以上の発生し、トラブルシューティングに2人以上のビジネスアナリストが必要でしたが、現在では、Adobe Analyticsの異常値検知機能により、手作業の必要性は週に1回にまで減少し、アナリストはより価値の高い活動に時間を割けるようになりました。
- 大手スポーツ用品メーカーの Under Armour は、Adobe Experience Manager AssetsのAdobe Sensei機能を活用したデジタルアセット管理の大規模化により、迅速なコラボレーションを実現しました。アドビのソリューションを導入する以前は、手作業でデジタルアセットにタグ付けを行い、大規模な運用は困難な状況でした。今では、Adobe Sensei搭載のスマートタグ機能により何百万ものアセットに自動的にメタデータタグを付けられるため、作業は効率化され、社内チームや販売パートナーが使用するコンテンツへのアクセスと管理が全面的に向上しました。
- ジュエリーブランド Catbird は、Adobe Senseiを搭載した製品レコメンデーション機能を使い、Adobe Commerceのストアフロントに買い物客ごとにパーソナライズされたレコメンデーションや商品の人気度を表示しています。かつては人手と勘に頼っていたプロセスが、アドビのレコメンデーション機能の統合によってシームレスなものとなり、同社ではAIを活用したレコメンデーションからの収益が最初の数か月で1,500%に跳ね上がりました。
- 米国の地域密着型マーケットプレイスである Doorstep Market は、Adobe Commerceを用いてマルチサイト・マルチベンダーのマーケットプレイスを開発し、500の地域小売業者が提供する2,700の商品の中から、買い物客ごとにパーソナライズされた製品レコメンデーションを表示しています。複数のローカルマーケットを結びつけたワンストップのショッピング体験を提供しているこのサイトに、Adobe Senseiを活用したレコメンデーション機能を導入することで、パーソナライズされたシームレスなショッピング体験やおすすめコンテンツを組み込んだ、洗練された顧客体験を提供し、マーケットプレイスに参加しているスモールビジネスの売上を促進します。
- クラウドベースのコミュニケーションサービスを手がける Bandwidth のマーケティングチームは、AdobeMarketo EngageのPredictive Audiencesを利用し、自社のデジタルイベントに最適な招待者リストを構築しています。Predictive Audiencesには、イベントに登録して最終的に参加する可能性の高いゲストを特定するフィルターを作成できるAdobe Sensei搭載機能があり、同社はこれを使って招待者リストを絞り込むことができます。この導入により、同社はウェビナーの招待者リストをコンパクトにしつつ、出席率の目標を達成することができました。オーディエンス側の「企業からのお知らせ疲れ」を軽減すると同時に、エンゲージメントの持続化に成功したのです。
Adobe Senseiの詳細については、こちらをご覧ください。
※本記事は、2021年9月20日にアドビが投稿したブログの抄訳版です。