データを活用してWebサイトのUI/UXを洗練させるポイント
多くの企業において、ウェブサイト上のUX(顧客体験)を最適化するためにCMSやアクセス解析、A/Bテストツールなど様々なマーケティングツールを導入されていますが、導入から時間が経過するごとに、最適化に関わる運用コスト削減が求められ、大きな成果が生み出せなくなるケースが散見されます。今回は、データを活用して継続的にウェブサイトのUI/UXを洗練させるためのポイントについてご紹介します。
もくじ
- Webサイト上のUI/UX改善の初期段階はCVRの改善にフォーカス
- CVR改善やパーソナライゼーションの高度化を推進するための組織づくり
- 継続的な最適化運用のためには適切なKPIの策定が重要
- 継続的にWebサイトのUI/UXを洗練させるためのポイント
Webサイト上のUI/UX改善の初期段階はCVRの改善にフォーカス
UI/UX改善を開始した当初に注力すべきは、CVRの改善に直結する部分のUI改善です。Web広告やマーケティングオートメーション(MA)を活用してウェブサイトへのアクセスを増やしたとしても、CVRが低いままでは、投資対効果が低くなるばかりか、顧客体験としても望ましくない結果になります。UI/UX改善の初期段階においては、ランディングページの直帰率の改善や、コンバージョン導線の離脱率の改善などの、CVRに直結する部分のUI改善のA/Bテストを数多く実施いただくことをおすすめします。
特に、昨今のCookielessの時代においては顧客獲得施策の重要度が高いため、A/BテストによるCVR改善が、パーソナライゼーションの効果を最大化するための鍵となっています。
CVRを改善し、パーソナライゼーション施策を展開できる顧客数を拡大することで、クロスチャネルでパーソナライズされた体験を提供することのビジネスインパクトが大きくなります。
パーソナライゼーションを展開する際には、ユーザーの行動や好みを把握するためにAdobe Analyticsのようなアクセス解析ツールを活用し、このデータをAdobe Targetのようなマーケティングツールと連携することで、AI(人工知能)やML(機械学習)も活用した高度なパーソナライゼーションを実現することができます。 Adobe TargetとAdobe Analyticsを組み合わせて活用すると、効果検証の面で、A/Bテストやパーソナライゼーション施策の勝者を判定するだけではなく、詳細な行動データやジャーニーを深堀分析することができるため、より顧客理解を深めることができます。 ことができるため、より顧客理解を深めることができます。
また、データから得られたインサイトは、スピーディーにパーソナライズされた施策に落とし込み、顧客中心の体験創出のスピードを上げていかなければなりません。スピード感が必要な中、IT部門のリソースを確保しなくても自律的にA/Bテストの実行、高度なパーソナライズが実行できるようになるとよいです。その際に活躍するのが、Adobe Targetです。WYSIWYGのユーザーインターフェースを利用し、サイト担当のマーケーターなどが直接操作を行うことができることで、数多くの施策を実行できます。
上記のように、自社にとって最適なマーケティングツールを活用しつつ、お客様の行動データを効果的に施策に活用し、CVR改善を進めていくことをおすすめします。
CVR改善やパーソナライゼーションの高度化を推進するための組織づくり
スピードと質を担保しつつ、顧客中心のパーソナライゼーションを進めるべきですが、どのような体制があると施策の高度化を推進しやすいのでしょうか。具体的に整えていくべき体制、状態目標をご紹介します。
●CVR向上を目的とするチームの設置
データをもとにA/Bテストを中心とした最適化施策を継続的に立案し、「CVRを向上すること」を目的としたチームが必要です。このチームが存在することで、高度化のための分析や外部ツールとのデータ連携もスムーズに進められるようになります。
●フロントエンドエンジニアのリソースの確保
A/Bテストを中心とした最適化施策を継続的に設定・実装するためには、CVR向上を目的とするチームの中に、JavaScript, HTML, CSSを自由にコーディングできるフロントエンドエンジニアを1名以上アサインする必要があります。
●運用のアウトソースの検討
CVR向上を目的とするチームづくり(内製化)が難しい場合には、施策立案から実行・施策評価までの運用をアウトソースすることも検討するとよいでしょう。それらの運用アウトソースの効果を評価するためにも、スピード(施策本数)と施策の精度(施策の勝率)を管理することが重要です。
●AI/MLを活用した高度な施策運用
素早くインサイトを獲得し、Adobe Targetなどのパーソナライゼーションツールを利用して施策運用のスピードを上げていく場合には、 AI(人工知能)やML(機械学習)の活用が欠かせません。 AI(人工知能)やML(機械学習)を活用してすべてのチャネルおよび機能を横断し、継続的にパーソナライゼーションを実施することで、最適化施策運用のスピードと質を担保しつつ、効果的にCVRおよびUXの改善を進めることができます。
最適化運用のための最適な体制を構築し、CVRの向上とパーソナライゼーション施策の高度化を推進していきましょう。
継続的な最適化運用のためには適切なKPIの策定が重要
継続的な最適化運用をするためには、以下のような指標をモニタリングすることをおすすめします。
- アクティビティ数
- 勝率
- 貢献売上
- CVR
- A/Bテスト数
- パーソナライゼーション施策数
「貢献売上」や「CVR」ももちろん重要な指標ですが、チームのKPIとして、「アクティビティ(施策実施)数」のKPIを持つとよいでしょう。この指標をもつことで、施策立案のスピードアップを促し、月単位や週単位でアクティビティ数を追うことでPDCAサイクルのスピードを評価することができます。 また、実施した施策のうち何%が勝者としてロールアウトされたかを「勝率」として評価することで改善施策の立案自体の質を測ることができます。これらのアクティビティ数と勝率の両方も高めていくことが、最適化運用の効果を高めていくことに値します。
最後に、施策の質という観点で、UIばかりのテストや改善になってしまっていないか、パーソナライゼーションの活動も推進できているかを管理するために、「A/Bテスト数」と「パーソナライゼーション施策数」を分けてKPI管理するとよいです。パーソナライゼーション施策を積み上げていき、継続的に優れたUXを提供していけるよう心がけましょう。
継続的にWebサイトのUI/UXを洗練させるためのポイント
マーケティングツールを導入/活用して継続的にUI/UXを洗練させるためのフェーズ別のポイントは以下の通りです。
【戦略フェーズ】
必要最低限の時間で、対象となるWebサイトのボトルネック分析 を実施、最適化施策を検討すべきページやオーディエンスを定義しましょう。データを活用して、トラフィックが多く、CVR貢献度の高いページまたはページの要素を選定すること が重要です。それらを重視し、PDCAを回していきましょう。次に、ボトルネック分析の結果や他社事例などをもをリアルタイム性高く連携することです。MA(マーケティングオートメーション)やCMS(コンテンツ管理システム)、CDP(カスタマーデータプラットフォーム)など、顧客管理に関するさまざまなソリューションとの連携を考慮に入れた設計を行いましょう。
上記のとに、Adobe Targetなどの最適化ツールによって実現するユースケースを作成します。
【施策設計フェーズ】
施策設計フェーズにおいては、シンプルなUI面のA/Bテストのみでなく、外部データを利用したターゲティング施策やレコメンド施策、行動にもとづくパーソナライゼーション施策の設計 に挑戦することも重要です。その際のポイントが施策の精度を高めるためのデータような施策自体の高度化を通して、同ページ、同要素においても高レベルな施策実施や、継続的なCVR向上を実現することができます。
【運用フェーズ】
運用フェーズにおいても数多くのポイントがあります。まずは、プロアクティブなインサイトの発見と早期のアクションが 重要です。施策状況をモニタリングできるワークスペースなどを即座に準備しておくことで、勝者の判断を迅速に行うことができます。
加えて、AI(人工知能)/ML(機械学習)の機能活用を開始すること も運用において重要です。例えば、すべての施策に対して手動で勝者を判断や設定変更をするのではなく、施策実施本数を増やしていきながら施策評価の質とスピードを保つためにも、自動で勝者判定したり、自動的に配信するべきオファーを最適化したりするようなAI/MLの機能を、運用上の注意点を理解した上で活用することをおすすめします。
また、UI/UX改善のための人材育成も重要であることから、スキルを展開するためのトレーニングも実施が必要です。データ活用人材の育成プログラムをいちから構築するのは難易度が高いことから、はじめは外部の人材育成プログラムやトレーニングを活用しましょう。
このように、データを活用してウェブサイトのUI/UXを洗練させるためには、最適化運用に関する適切なKPIを策定した上で、必要なリソースを確保し、データを活用してさまざまな施策をスピーディに実行していく必要があります。その上で、CVR改善のためのUIの最適化だけでなく、ユーザーのプライバシーに配慮した上で、「正しいコンテンツを、正しい人に、正しいタイミングで、正しいチャネルを通じて提供する」ことを念頭に置いたパーソナライゼーションを実施し、高度な顧客体験管理を継続していきましょう。
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