飽和期
成熟期の終わりは、飽和期と呼ばれています。まだ減少には転じていないものの、売上は停滞し始めます。
この段階で、ようやく先発メーカーに追いついた競合他社や、成長期を迎える競合他社などが出現し始めることも特徴です。その結果、市場には製品の選択肢が溢れ、自社製品が成長することは非常に難しくなります。
ただし、市場が飽和状態になったとしても、顧客サービスと製品差別化の最適化に注力すれば、勢いを保つことはできるでしょう。とはいえ、製品がライフサイクルの最終段階に到達するのは時間の問題です。
4.衰退期
どのような製品であったとしても、やがてライフサイクルの最終段階を迎えます。この時期は売上が減少し、プロダクトライフサイクル(製品ライフサイクル)のなかで一般的に衰退期と呼ばれます。
多くの場合、旧式の製品は、最新の代替品に置き換えられます。その際、旧式の製品は、徐々に衰退していくのではなく、急激に人気が落ちる可能性があります。
その典型として挙げられるのが、DVDなどの映像ソフトです。かつてDVDがVHSテープに取って代わったのと同様に、近年はオンラインストリーミングサービスの隆盛にともない、DVDやBDといった映像ソフトの市場シェアが縮小し続けています。
企業によっては、強力なブランド力によって、あるいは製品を引退させてその新しいバージョンを導入することで、衰退期を回避できる場合もあります。対策が成功すれば、製品寿命が尽きることなく、何年も市場で一定のシェアを保てるでしょう。
とはいえ、企業運営において重要なのは、製品の売上を低迷させないことです。長期にわたる衰退は、収益性とブランドの評判を損ないかねません。
プロダクトライフサイクル(製品ライフサイクル)の理解に欠かせない用語
続いて、プロダクトライフサイクル(製品ライフサイクル)の理解に欠かせない3つの用語について解説します。
プロダクトライフサイクルマネジメント(PLM)
プロダクトライフサイクルマネジメント(PLM)とは、製品の設計から開発、生産、販売、リサイクルまで、すべてのプロセスを管理するマネジメント手法のことです。
製品のライフサイクルを把握して管理することで、適切なタイミングでの市場投入や、品質の改善、撤退などを戦略的に行えます。
また、PLMの実行により、以下のようなメリットを期待できます。
イノベーター理論
イノベーター理論とは、新しい製品やサービスの市場における普及率を表す理論のことです。この理論では、新しい製品やサービスを採用するタイミングが早い順に、消費者を5つのタイプに分類します。
5つのタイプごとの特徴を、以下に示します。
キャズム理論
キャズム理論では、『イノベーター/アーリーアダプターを指す「初期市場」と、アーリーマジョリティ以降を指す「メインストリーム市場」の間には、製品を普及させるうえで超えなければならない溝がある』と説いています。
つまり、メインストリーム市場で製品やサービスを普及できなければ、競合に埋もれて撤退せざるを得なくなるのです。
この対策として、アーリーマジョリティ向けの訴求や、ユーザビリティの向上などの多角的な戦略が必要になります。
プロダクトライフサイクル(製品ライフサイクル)の段階ごとの戦略
ここからは先述したイノベーター理論を用いて、プロダクトライフサイクル(製品ライフサイクル)の段階ごとの戦略について見ていきましょう。
開発期/導入期の戦略
開発期/導入期では、製品の認知度を上げて、市場に浸透させるための戦略が重要です。
イノベーター(革新層)をターゲットに、自社製品の独自性や先進性、優位性を訴求することで、興味を引き付ける必要があるでしょう。
具体的な戦略として、以下が挙げられます。
製品の発売が近づけば、ソーシャルメディアやwebサイトでティーザー広告を展開することもあります。また、アンケートやインタビューなどの消費者テストの結果を公表すれば、製品に関する話題を提供できるでしょう。
優れたマーケティング戦略は、製品を市場にスムーズに導入するための舞台を整え、価値創出までの期間を短縮します。
なお、開発期/導入期はプロダクトライフサイクルのなかでも特に困難な段階なので、価格に関する2つの戦略がよく用いられることにも留意しておきましょう。
- スキミングプライス(上層吸収価格)戦略
製品の価格を意図的に高く設定する戦略で、アーリーアダプター(初期採用層)に販売後、徐々に価格を下げて新たな顧客層にアピールしていきます。
- ペネトレーションプライス(市場浸透価格)戦略
スキミングプライスの逆バージョンともいえる戦略です。この方法では、製品の価格を低く設定して需要を喚起し、ターゲットオーディエンスに定着した後で価格を上げます。
成長期の戦略
成長期には、利益が増えやすいことから競合他社の参入も増えるので、差別化を図れるような戦略が有効です。
よって、流行している製品を求めるアーリーアダプター(初期採用層)をターゲットに、製品の機能追加や積極的なPR活動が不可欠となります。
成長期における具体的な戦略としては、以下が挙げられます。
特に、生産ラインの拡充や販路の拡大は、安定的な供給を実現するためにも重要です。需要に供給が追いつけず、市場から撤退するリスクを低減させられます。
また、既存顧客のロイヤルティを高めるとともに、製品に対するフィードバックを顧客に促し、ユーザーの評価やインフルエンサーの支持といった「ソーシャルプルーフ」を形成する必要もあります。
マーケターは、それらをマーケティング活動に活用しつつ、市場での勢いが衰えないようにすることが不可欠です。特に、競合他社に市場シェアを脅かされている場合は、勢いが一度衰えてしまうと、取り戻すのが難しくなります。
成熟期の戦略
成熟期では、アーリーマジョリティ(前期多数派)が製品を購入し始めることで、市場が安定します。その反面で、価格競争が激しくなり、売上や利益は停滞する傾向があります。
よって、メディアでのPR戦略や、製品の外観変更をはじめとしたリブランディング戦略にも取り組む必要があります。
また、自社の市場シェア率に適した戦略を検討するのも手です。シェアトップ企業向けの「ミート戦略」と、シェア下位企業向けの「ニッチ戦略」の特徴は以下のとおりです。
- ミート戦略
シェアトップの企業が、新規参入、またはシェア下位企業と同様の差別化に取り組み、人員数や資金力で優位性を確保する戦略。
- ニッチ戦略
競合企業の少ないニッチな市場を狙って、自社の製品を提供する戦略。
また、成熟期のマーケティング戦略では、自社製品が競合製品よりも優れている理由を示すことが重要です。最初に製品化した企業の場合、消費者の声から学び、製品や広告を最適化する時間も多くあるでしょう。
なお、成熟期におけるマーケティングは、ブランドに大きく依存することに留意が必要です。市場が盛況の時期には、製品を差別化するための選択肢が限られるので、顧客体験、顧客関係管理、顧客ロイヤルティに対する取り組みがより価値を持ちます。
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