変化する顧客ニーズを的確に捉えよ。動きのすばやい企業に見る差別化要素

変化する顧客ニーズを的確に捉えよ。動きのすばやい企業に見る差別化要素

変化の激しい時代に「先を見通す」ことは難しい

変化の激しい時代に「先を見通す」ことは難しい

近年の市場変化の速さに、苦戦している日本企業は多い。「性能をアップすれば売れていた商品」が売れなくなったり、旧来の人気サービスが新興企業による後発の魅力的なサービスに顧客を奪われたりなど、トレンドの移り変わりが早く、先を見通すことが難しい。

ただ、そんな難しい時代ゆえに慎重になり、「次の一手を誤らないよう、入念に調査や検討を重ねてからプロジェクトを進めたい」と考えているなら、その認識は早急に改めてほしい。

顧客ニーズの変化に対応するため「プロセスのスピード化」はマスト

顧客ニーズの変化に対応するため「プロセスのスピード化」はマスト

いまや顧客ニーズは多様化し、時間の経過や状況に応じて移ろいやすい。いま、たとえ緻密に調査を行ったとしても、満を持してリリースした頃には、顧客の求めていることが変わってしまっている可能性も大きい。一人ひとりの顧客が何を求めているかをすばやく知り、顧客体験という形で適切に応えなければ、顧客の心はその企業からどんどん離れてしまうだろう。

もちろん、多くの企業は顧客のニーズを把握する必要性を認識している。購買データやサイトの訪問履歴、あるいはアンケート結果など、さまざまなデータを取得、保有しているだろう。しかし、カスタマー部門、製品開発部門、販促部門など、部門間の横の連携がとれていない縦割り体制であることが多い。そうなると、データもバラバラで活かしきれていないのが実情だ。顧客の声を吸い上げ、それを顧客体験に反映し、提供するまでに時間がかかり過ぎている。その過程のスピードアップを図ることが、市場で勝ち残る唯一の方法となるだろう。

スピードアップの早道は、顧客からのフィードバック機会を増やすこと

スピードアップの早道は、顧客からのフィードバック機会を増やすこと

では、企業はどのようにスピードアップしたらよいのか。製品やサービスを市場に出すまでのPDCAサイクルを早く回せばよい、と考えるのは早計だ。実はやり方にはコツがある。

典型的な製品やサービスの市場投入の始めには、まずできるだけ精度の高い計画を作ることが前提となっている。しかし、それでは売り手視点に立った計画になりやすく、市場に出した後の臨機応変な対応も難しい。顧客視点のフローに変えるには、顧客の声や反応を、頻繁に確かめることが重要となる。

顧客の声には、ポジティブで具体的な声もあれば、厳しいダメ出し、無反応まで様々だ。こうしたフィードバックは、いずれも製品と顧客ニーズとのギャップを埋めるために極めて役に立つ。顧客からのフィードバックを得る機会を増やせば、その分、改善機会も増やせるのだ。

小さなPDCAサイクルを素早く何度も回す「アジャイルアプローチ」

小さなPDCAサイクルを素早く何度も回す「アジャイルアプローチ」

そのためには、従来の単線型のPDCAサイクルをしっかりと回すのではなく、PDCAサイクルを短くして、そのサイクルを何度もすばやく繰り返すやり方が効果的だ。このアプローチは「アジャイル」と呼ばれる。市場環境の変化が激しい時代だからこそ、導入するべきアプローチと言えるだろう。

私たちが普段よく使う、モバイルアプリを思い出すと分りやすい。アプリのアップデートを促す通知が頻繁に来るのは、ユーザーにとってそのアプリがもっと快適に、便利になるよう、企業がリリース後も継続して機能改善を行っているからだ。新しい機能なども追って提供される。最初からすべてが揃った完全版のアプリをリリースするのではなく、まずは小さくスタートし、顧客の声を反映しながら進化させていくのだ。

結果的にはスピードアップにつながるし、予想外の変化が起きても市場とのギャップが広がらなくて済む。早く小さな失敗を積み重ねることで、軌道修正の機会を増やすことができるのだ。アプリの例ではこうして、市場ニーズにあった顧客体験を提供できる。

アジャイルアプローチを取り入れる利点は、スピードアップだけではない

アジャイルアプローチを取り入れる利点は、スピードアップだけではない

日本企業がいま改めて認識しなければならないことは、「いまや、自分たちが作りたいものや売りたいものを提供すれば、結果がついてくる時代ではない」ということだ。売り手視点の「プロダクトアウト」から、「マーケットイン」の考え方へ転換が求められているいま、アジャイルアプローチを取り入れることは、これまでのプロセスだけではなく、組織のあり方や文化を見つめ直し、進化させるきっかけとなる。

アジャイルな組織に変わるための必要性を感じたら、アドビのガイド 市場変化にすばやく適応するには:マーケティング能力を高める5つのアプローチ を、ぜひ参考にして欲しい。組織とマーケティングの関係に詳しい一橋大学の神岡太郎教授に、アジャイルな組織になるための5つのポイントを伺っている。組織を変革するために、メンバーはどのような意識を持つべきか、そしてリーダシップの在り方についても、理解の一助となるだろう。

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