webマーケティングとは?広告やSEOだけではない!基礎知識と施策
情報を得る手段が従来のテレビや新聞からインターネットへ移行し、モバイルやソーシャルの普及を経て、デジタルが生活の一部になった現代。デジタル広告の重要性は非常に高く、webマーケティングはあらゆる企業にとって不可欠になっています。
この記事では、いま改めて、webマーケティングとはどのようなものなのか、どんな効果をもたらすのかを解説していきます。
目次
- webマーケティングとは
- webマーケティングとデジタルマーケティングの違い
- webマーケティングの重要性
- webマーケティングの歴史
- マーケティング施策実施に向けたPDCAの8つのステップ
- webマーケティングの集客施策
- 離脱を減らし、回遊率、コンバージョン率を上げるための施策
- webマーケティングを成功に導く Adobe Marketo Engageの3つの機能
- webパーソナライゼーション
- 広告連携
- レポーティング
- Adobe Marketo Engage導入事例を紹介 逸品弁当
- webマーケティング用語
webマーケティングとは
「webマーケティング」とはひと言で言うと、オンラインショップなどのwebサイト、webサービスに対して、より多くの消費者を"集客"し、サイト上で展開している商品やサービスなどの購入や、長期的な関係構築を促す、一連の活動です。テレビCMや雑誌広告などのマス広告を通じて顧客を呼び込む「集客活動」、来店した顧客に商品やサービスなどを勧める「販売活動」をすべてオンライン上で行うものだとイメージすれば、わかりやすいのではないでしょうか。
かつて「マーケティング」とは、「より多くの商品やサービスを売るための活動」でした。そのためには、まず「こんな商品やサービスがある」「どこで売っている」ということを知ってもらわなければなりませんし、その上で、顧客の好みやライフスタイルに合った商品やサービスを提案し、興味を持ってもらう必要があります。
これらの活動を通じて、顧客に「この商品やサービスが欲しい!」と思ってもらい、実際の購入に結び付けていくのがマーケティングの基本的な目的のひとつです。そしてその活動を、webサイトでの集客力アップ、販売力アップのために行うのが「webマーケティング」だったのです。
webサイト、webサービスでは、自然検索、検索連動型広告、ディスプレイ広告、アフィリエイト広告、SNS広告など、さまざまな手法を使って集客します。ここで注意したいのが、広告の選び方や打ち方を間違えると、思ったほどの集客が期待できないということ。また、うまくwebサイトに誘導できたとしても、掲載されている商品やサービスに魅力を感じてもらえるとは限りません。ですから、webサイト上における「情報発信の仕方」や、顧客が欲しいと思っている情報へのwebサイト内での「誘導の仕方」などに工夫を凝らす必要があります。それを考え、実行することこそがwebマーケティングの実際の取り組みなのです。
幸いなことにwebマーケティングでは、「どの広告からどれだけ集客できたのか?」「誰が、どのページを、どれくらいの回数見たのか?」、または「どのページに、何人がどれくらいの時間滞在したのか?」といったデータを詳細に検証できます。その結果をもとに、誘導の仕方や情報の見せ方などを改善しながら、集客実績や販売実績を上げていくことが可能なのです。
要するにwebマーケティングは、webサイト上の商売を「ますます繁盛させる」ための活動であると言えます。
webマーケティングとデジタルマーケティングの違い
webマーケティングとデジタルマーケティングの違いは、扱う世界の範囲でした。
デジタルマーケティングとwebマーケティングは、技術的な中心が同じインターネットであり、web上での施策を行うことは共通であることから、同じようなものだと捉えられがちです。では、両者はIT業界が需要を喚起するために、従来の概念をバズワード化しているだけでしょうか。
両者の違いは、マーケティングの対象として扱う世界の範囲にあります。webマーケティングは、その名の通りwebサイトを軸に考えるマーケティングで、webサイトの世界だけに閉じたマーケティングともいえます。一方、デジタルマーケティングはwebサイトの世界にとどまらず、デジタルで得られるあらゆるデータやタッチポイントを活用するマーケティングであり、webマーケティングとの決定的な違いは、扱う世界の範囲が格段に広いことです。
Webマーケティングにおいて多くは、企業の運営するwebサイトのコンテンツを充実させて、いかにして顧客を流入させ、誘導し、購買などのアクションにつなげていくのかを考えます。具体的にはSEO対策やリスティング広告の利用、アクセス解析とその後のwebサイトの改善などです。webを中心に施策を行い、webで取得可能な情報を使って効果測定を行います。
以下の記事も参考にしてください。
かつてはこのように、扱う世界の範囲によって、マーケティングの用語を使い分けていました。その後、「リアルとデジタルの融合」と呼ばれた時代を経てきました。そして今では、IoT、AR/VR、メタバースやWeb3のように、デジタル技術のよどみない進化によって、デジタルは社会の中に溶け込むようになりました。こうなると、デジタルのない世界は想像できないほどでしょう。そのため、かつての用語の違い、世界の違いはあいまいになり、あえて用語を使い分ける意義も失われてゆくのかもしれません。ただ、この発展の歴史を頭に入れておくと、概念の整理に役立つことでしょう。
webマーケティングの重要性
ネットショッピングをはじめとするBtoC(企業対消費者)Eコマース(電子商取引)市場は急速に拡大してきました。総務省の統計によると、2015年の時点で、国内市場規模は約13.8兆円。2010年の約1.7倍にあたり、その後も成長し続けてきました。経済成長期を得て成熟期にある日本では、高齢化や、非婚化、晩婚化などによって単身世帯人口が増え続け、「デジタルを活用して、生活をより便利にしたい」「買い物の手間をなるべく省きたい」というニーズが広まってきました。
スマートフォンやSNSの普及によってネットショッピングがより手軽になったこと、店舗で品切れのものや、遠くまで行かなければ買えないものも簡単に購入できるネットショッピングの利便性が幅広い世代に認知されてきたことも、市場の拡大を後押ししました。オンラインショップなどのwebサイト、webサービスの将来には、大きな可能性が広がっていると言えます。
しかしながら、デジタルでのビジネスが普及すればするほど、デジタルでの競争は熾烈になります。氾濫するweb広告の中から、いかに自社の広告を見つけ出してもらい、集客に結び付けるか。また、いかにwebサイトの中に長くとどまってもらい、回遊を促して「欲しい商品やサービス」にたどり着いてもらうか。そして最後に、どうやって「買いたい!」と思わせるのか。これらの行動を"訪問客"の傾向分析にもとづいて、限りなく「思い通り」にする、webマーケティングを始めとするマーケティングの重要性は、年々高まっていると言えます。
webマーケティングの歴史
webマーケティングの歴史の始まりは、1990年代にさかのぼります。米国最大の電話会社であるAT&Tが1994年、オンライン雑誌に世界で初めてのバナー広告を掲載したのがその出発点でした。
しかしまだ当時は、Yahoo!やGoogleのように見たいwebサイトを教えてくれる検索エンジンはなく、人々の多くは、雑誌などに掲載されたアドレスをもとにサイトにアクセスしていました。これらの検索エンジンがサービスを開始した1990年代後半に入って、ようやく現在に至るwebマーケティングの本格的な歴史がスタートします。
当初の検索エンジンは、webサイトの運営者が自ら登録しなければ検索結果に表示されない「ディレクトリ型検索エンジン」と呼ばれるものでした。しかし、1998年にGoogleがweb上にある該当サイトを自動的に探し出し、検索結果を表示する「ロボット型検索エンジン」を発表。これによって、検索結果の上位に表示されるように工夫を凝らすSEO(検索エンジン最適化)対策というwebマーケティング手法が発達しました。
さらにGoogleやYahoo!は、2002年にリスティング広告と呼ばれる検索エンジンを使った広告サービスを開始します。これは検索結果の表示画面に、検索キーワードと関連する商品やサービスなどの広告枠を提供するもので、「検索連動型広告」とも呼ばれています。
また2000年代に入ると、楽天市場やアマゾンなどのネットショッピングが活況を呈し始める一方、個人によるブログやメールマガジンなどが普及し出したことから、これらの個人メディアに広告を貼って、ネットショッピングなどのサイトに誘導するアフィリエイト広告も活用されるようになりました。webマーケティングの観点から見れば、集客のためのチャネルがどんどん広がってきたことになります。
そして2007年、webマーケティングの考え方に革命的な変化をもたらすことになる「あるモノ」が誕生します。それは、スマートフォンの先駆けである初代「iPhone」です。その後、スマートフォンはまたたく間に世界中に普及。iPhoneとほぼ同時期に登場したTwitter、Facebook(どちらも2006年に一般向けサービスを開始)などのSNSとともに、人々のコミュニケーションや情報入手のあり方を大きく変えました。
webマーケティングにおいても、SNS上に自社や自社ブランドのアカウントを設け、ユーザー(見込み顧客)との「つながり」から集客へと誘導する、スマートフォン用のアプリを提供して集客の入り口にするといった手法がどんどん進化を遂げていきました。
一方、webマーケティングの効果測定や対策手段としては、2000年代初めごろからアクセス解析ツールやLPO(ランディングページ最適化)、EFO(エントリーフォーム最適化)のためのツールなどが次々と開発されました。これらのwebマーケティングに関するテクノロジーについては、後ほど詳しく紹介します。
https://main--bacom-blog--adobecom.hlx.page/jp/blog/fragments/offer-003315-experience-based-business
マーケティング施策実施に向けたPDCAの8つのステップ
マーケティングの基本ステップ
※3C分析など、マクロにおける分析はここでは割愛させて頂きます。
マーケティング施策を実施し、PDCAを回していくための代表的な活動は以下のような8ステップで行われます。
- 自社の収益プロセスを組み立て、可視化する
- 各プロセスにおける顧客の滞留数、滞留日数、次のプロセスへの遷移数、遷移率を書き出す
- 収益プロセスにおけるボトルネックを把握、改善し、実現したいビジネスゴール、目標を決める
- ボトルネックを改善し、ビジネスゴールを達成するためのマーケティング戦略を考える
- マーケティング戦略に沿ったマーケティング施策の立案し、施策の成功の定義や施策の振り返りの仕方などを決める
- 施策の実行
- 振り返りとボトルネックを改善し、ビジネスゴールを達成するための軌道修正の連続(PDCAを回す)
- ボトルネックを改善し、ビジネスゴールを達成する
よくあるwebマーケティング指南本では、「まずは集客しましょう。購入や問い合わせをしてくれそうな人を呼び込みましょう。広告を打ちましょう」というような内容ではじまることが多いですが、実際は違います。まずは、収益プロセスを可視化し、ボトルネックを把握し、数字をもとにビジネスゴールや目標とマーケティング戦略を決めましょう。
マーケターにとって「マーケティングチームは何をしているのかわからない」と言われることほど悲しい評価はありません。『「数字指向」のマーケティング』(MarkeZine BOOKS)著者である丸井達郎さんは数字で説明することの重要性を説きますが、その要はプロセス全体を把握することにあります。
webマーケティングの集客施策
webマーケティングの最初の重要なステップは、自社のwebサイトに顧客を呼び込むこと(集客)です。以下、代表的な集客施策を紹介します。
SEO(検索エンジン最適化)
webユーザーが検索エンジンで自社の商品やサービスに関連するキーワードを検索すると、検索結果の上位に表示されるようにして、自社ページへのアクセス増を促す集客施策です。検索エンジンごとの表示ルールを分析して、上位に掲載されやすくなるようwebページ内に散りばめるキーワードなどに工夫を凝らします。
リスティング広告
検索エンジンの検索結果画面に表示される広告枠に、テキストの広告を掲載する方法です。検索キーワードに関連した広告を出せるため、SEO対策と同等もしくはそれ以上のアクセス増が期待できます。広告なので掲載は有料。キーワード単位でオークション形式の入札が行われ、入札額の大きい順に掲載順位が決定します。
アフィリエイト広告
アフィリエイトは「提携する」という意味。提携する個人ブログやメールマガジンなどに広告を掲載してもらい、そこから自社のwebサイトに誘導する方法です。アフィリエイト広告の多くは成果報酬型の課金方式を採用しており、自社サイトを訪ねたwebユーザーが問い合わせや資料請求、商品購入などのアクションを起こした場合に料金が発生します。
アドネットワーク広告
複数のweb広告媒体に広告を配信できるサービスのことです。一つひとつのwebサイトに広告掲載を依頼するのは手間がかかりますし、効果の高い媒体を探し出すのも大変ですが、アドネットワーク広告を利用すれば、それらを一手に引き受けてもらえます。多媒体から情報発信するので、アクセス増も期待できます。
SNS広告
TwitterやFacebookなどのSNSに広告を掲載する方法です。年齢や地域、興味関心などの属性をもとに、webユーザーを絞り込んで広告を配信することもできます。
リターゲティング広告
Webユーザーが過去に閲覧したwebページにもとづいて、後を追いかけるように関連広告を何度も表示する方法。「追跡型広告」とも呼ばれます。一度webサイトを訪問したユーザーは、掲載された商品やサービスに関心を持っている可能性が高いので、繰り返しアプローチをするという考え方です。
なお広告は、「クッキーレス」の影響を大きく被るため、その位置付けとアプローチを見つめ直す必要があります。詳しくは次のガイドが参考になります。
https://main--bacom-blog--adobecom.hlx.page/jp/blog/fragments/offer-003303-cookieless-world
メールマーケティング
ただメールマガジンを配信するのではなく、webユーザーの行動履歴ごとに内容や配信のタイミングなどを変えて配信するマーケティング手法のことです。たとえば、ユーザーが商品を買い物かごに入れたままWebサイトを離脱した場合、かごに入っている商品の情報をメールでもう一度アピールするといった方法などがあります。
https://main--bacom-blog--adobecom.hlx.page/jp/blog/fragments/offer-003329-ma-basic-email-marketing
ウェビナー(webセミナー、オンラインセミナー)の開催
最近、多くの企業がウェビナーを実施していますが、ウェビナーには集客だけではない、大きく分けると4つの大きなメリットがあります。
認知の獲得とブランディング
オフラインのイベントに比べセミナーへの参加障壁が比較的低く、多数の来場者が見込めるウェビナーをすることで、企業名やブランド、製品やサービスを見込み顧客に目にしてもらうことが増え、「この会社は今勢いがある」「業界の主要プレーヤーである」といったイメージ作りにも繋がります。
多くの見込み顧客と接点を持つことができる
営業による提案が見込み顧客と1:1の関係であるのに対して、ウェビナーは1:Nの関係になります。これは、限られた時間の中で多くの見込み顧客と関係を持つことができることを意味します。また、他社と共催のウェビナーを開催すれば、自社が接点を持っていない見込み顧客の来場が見込まれるために自社が保有するリストを増やすことにつながります。
検討度合いの高い見込み顧客と接点を持つことができる
ウェビナーには何かしらの課題感を持ち、サービス導入を目的として参加している方が能動的に参加されます。そのため、ニーズが顕在化されていたり導入時期が明確になっていたりする見込み顧客と接点を持つことができます。そのまますぐに商談に移ることも可能ですし、ニーズが顕在化されている方が求める情報を提供できれば、営業担当やインサイドセールスからご連絡をすることで商談を進めることもできるでしょう。
体系立った情報の提供ができる
ウェビナーでは、ウェブサイトやメルマガで提供する情報よりもさらに踏み込んだ情報を提供することができます。例えばソフトウェア企業やサービスを提供する企業であれば、セミナーで30分や1時間のまとまった時間を使った紹介により、課題提起からその解決策までを紹介し、ニーズを喚起するような時間にすることができるでしょう。
セミナー開催を含めたイベントマーケティングに関しては、以下の記事もご覧ください。
また、アドビが開催するウェビナー情報はこちらをご覧ください。
https://main--bacom-blog--adobecom.hlx.page/jp/blog/fragments/page-events-webinars
ソーシャルメディア対策
SNSに自社または自社ブランドの公式アカウントを作成し、webユーザーとの「つながり」やコミュニケーションを保ちながら、自社webサイトへのアクセスを促す方法です。
なお、これらの集客施策は、それぞれの特性に応じて商品やサービスの「認知」→「興味関心」→「検討」→「購入」と、段階(フェーズ)ごとに使い分ける方法もあります。
例えば、第1フェーズの「認知」を促すためには、まず自社の商品やサービス自体を知ってもらう必要があるのでアドネットワーク広告やSNS広告が有効です。次に第2フェーズの「興味関心」は、商品やサービスの存在を知ってもらった上で、自社のものを好きになってもらう必要があります。これをには、SEO対策やリスティング広告が有効です。最終的な第3フェーズの「検討」や第4フェーズの「購入」の段階では、前段階での「興味関心」から、他社比較などを通じて、その中で自社の商品やサービスを選んでもらう必要があります。顧客獲得を後押しするには、リターゲティング広告やメールマーケティングを活用することが有効。このようにフェーズごとに打つ施策を変えていくことが、webマーケティングを成功に導きます。
離脱を減らし、回遊率、コンバージョン率を上げるための施策
直帰率の改善
検索結果や広告などを経由してwebサイトに誘導したものの、ほとんど情報を見ないまま、すぐに「戻る」をクリックして逃げ出してしまう訪問者もいます。これを「直帰」と言い、訪問者のうち、すぐに離脱してしまった人の割合を「直帰率」と言います。
せっかく訪ねてもらったのに、すぐに出て行かれてしまうのは、たどり着いたページの内容が魅力に乏しいからかもしれません。そんなときは、少しでも多くの訪問者にwebサイトにとどまってもらうため、「LPO」(ランディングページ最適化)という施策を打つ必要があります。
LPOとは文字通り、訪問者が自社webサイトにたどり着いた最初のページ(webマーケティング用語では「ランディングページ」と言います)の魅力を最適化することです。ランディングページにたどり着いた訪問者がすぐに出て行ってしまうのは、検索結果や広告を見て「より詳しく知りたい」と思った情報が載っていなかったり、ページのどこにあるのかがよくわからなかったりするからだと思われます。アクセス解析によって直帰率が高いことが判明した場合は、原因を追究して改善していく必要があります。
離脱率の改善
また直帰率は低くても、なかなか次のページに進んでもらえず、たった数ページ見ただけで離脱されてしまうケースも珍しくありません。これはページの内容に問題があるときだけでなく、「どこをクリックすれば次のページに移れるのか?」という導線がはっきりしないときにも起こり得ます。訪問者が1訪問あたり平均何ページを閲覧したのかを表す指標を「サイト内回遊率」と言いますが、これが低い場合は、それぞれのページから次のページへの導線が見やすい位置にあるか? 「クリックしてみたい」と思わせるような文章やデザインになっているかどうかなどを検討してみましょう。
コンバージョン率の改善
入り口の「直帰率」、中間の「回遊率」とともに、最後にしっかりチェックしたいのは「コンバージョン率」です。コンバージョンは「転換」を意味する言葉ですが、webマーケティングでは、訪問者がwebサイトの運営者にとって「期待通りの行動」をしてくれたときのことを言い表します。
例えば、訪ねてくれた人に「商品を買ってもらう」ことをサイト運営の目的とするのなら、実際に買ってもらったこと、「会員登録をしてほしい」というのが狙いなら、実際に登録したことがコンバージョンです。訪問者の総数に占めるコンバージョンした人の割合がコンバージョン率となります。一般にコンバージョンを達成するには、訪問者に商品購入や会員登録のためのエントリーフォームに入力してもらうことになりますが、入力の仕方がわかりにくかったり、項目が多すぎたりすると、せっかくフォームまでたどり着いたにもかかわらず、訪問者に離脱されてしまうこともあります。そこで検討したいのが「EFO」(エントリーフォーム最適化)という施策です。これは、入力の手間を極力減らし、より短い時間で正確に入力が完了できるようにエントリーフォームを改善する取り組みです。
これによって訪問者がストレスを感じることなくフォームに入力できるようになれば、コンバージョン率は上がり、サイト運営の本来の目的を達成しやすくなるはずです。
webマーケティングを成功に導く Adobe Marketo Engageの3つの機能
ここまで見てきたように、webマーケティングにはさまざまな施策があります。しかし、一般にwebマーケティングは、それに携わるマンパワーに制約があることが多く、「顧客ごとにどんなアプローチが有効なのか?」といった知見やノウハウが社内に十分蓄積されていないケースも少なくありません。そこで活用を検討してほしいのがマーケティングオートメーション(MA)です。
見込み顧客の育成や訪問者の属性や訪問頻度、行動状況などに応じて配信対象をセグメント化するメールマーケティング、ランディングページ最適化(LPO)、キャンペーン管理、予測とスコアリング、リード(見込み顧客)管理、CRM(顧客関係管理)システムとの連携、ソーシャルマーケティング、マーケティングアナリティクスなど、様々な機能を用意しており、たとえ少人数でも、多彩なチャネルを駆使して精度の高いwebマーケティング戦略が展開できます。
https://main--bacom-blog--adobecom.hlx.page/jp/blog/fragments/offer-003341-why-marketing-automation
数あるAdobe Marketo Engageの機能の中から、ここでは「webパーソナライゼーション」「広告連携」「レポーティング」の3つの機能について詳しく解説します。
webパーソナライゼーション
ランディングページにたどり着いた訪問者の心をつかむための時間は、わずか0~8秒しかありません。ですから、ランディングページに掲載する見出しやコンテンツは、なるべく訪問者の関心を呼び覚ましやすいものにする必要があります。
Adobe Marketo Engageには、一人ひとりのweb訪問者の属性や行動データをもとに、その訪問者に最も関連性が高い見出しやコンテンツをランディングページ上に表示する「webパーソナライゼーション」機能が用意されています。
この機能が非常に優れているのは、貴社のシステム内にまだ訪問者の記録がなくても、その訪問者に適したコンテンツが表示できる点です。Adobe Marketo Engageなら、たとえ匿名の訪問者でもIPアドレスを検索して収集した情報をもとに、訪問者の属性や好みなどをセグメント化できるからです。
またwebマーケティングでは、一度サイトに訪れたものの、コンバージョンをせずに離れてしまった訪問客を再訪問させるためのリターゲティング広告も重要な施策です。Adobe Marketo Engageなら、そうしたリターゲティング広告についても、属性や購入履歴、購入意図、リードスコアなどにもとづいてパーソナライズされた広告を打つことができます。
https://main--bacom-blog--adobecom.hlx.page/jp/blog/fragments/offer-personalization-at-scale-report
広告連携
Adobe Marketo Engageは、さまざまな広告プラットフォームと連携可能です。それぞれのプラットフォームが持つ機能とAdobe Marketo Engageの機能を組み合わせることによって、より精緻な訪問者の分析やそれにもとづく効果的なマーケティング施策を実践することができます。
例えばAdobe Marketo Engageは、約4億人のオーディエンスデータを保有する日本最大級のデータマーケティングプラットフォーム(DMP)である「Intimate Merger」とも連携しています。この連携による最大の効果は、「Intimate Merger」単体ではオンラインの行動履歴をもとにセグメントした広告配信しか行えないところをAdobe Marketo Engageとの連携によって、オフライン情報も活用した、より精緻なセグメントが可能になる点です。具体的には Adobe Marketo Engageが保有するリードの中で、まだ営業と接触していない人だけに絞って「営業と商談をすれば、いまだけ〇〇をプレゼント!」という広告を配信したり、 Adobe Marketo Engageから送信したメールをクリックした人にだけ、「この広告からのお申し込みで〇〇%オフ!」といった超限定キャンペーンを打ったりすることができます。
このほか、 Adobe Marketo Engageの機能は「Facebook」や「Google Ads」とも連携可能です。Facebookでは、 Adobe Marketo Engageの保有するデータを使ってFacebook広告の配信を制御できる「カスタムオーディエンス機能」や、訪問者によるフォーム入力の手間を大幅に低減するFacebook独自のリード獲得広告と連携し、フォーム入力された情報が自動的に Adobe Marketo Engageに送られて新規リードとして登録され、瞬時に Adobe Marketo Engageからサンクスメールが自動配信される機能などが活用できます。
一方、Google Adsは、主に認知からコンバージョンまでのwebマーケティングを支援する広告プラットフォームですが、 Adobe Marketo Engageはコンバージョン後の最終的な受注状況までを追えるMAなので、2つを連携させることで「認知~コンバージョン~受注」という傾向分析の流れが形成されます。Google Ads単体で受注までをカバーできるようにするには大規模な開発が必要ですが、 Adobe Marketo Engageとの連携なら至ってシンプル。しかも一度設定してしまえば、1日1回、 Adobe Marketo Engageのデータが自動的にGoogle Adsに流れるようになるので、追加の作業工数も必要ありません。
レポーティング
Adobe Marketo Engageには、目的に応じて活用できる各種レポーティング機能も用意されています。例えば「キャンペーン投資対効果」では、最大4つの指標を設定して、4軸の分析が可能。「レポートビルダー」を使えば、どの施策が最もリードを獲得できたのかがひと目でわかります。
このほか、 Adobe Marketo Engageが保有しているデータを使えば、「クロス集計」をすることも可能です。「スコアリング×業種」や「リード獲得月×スコアリング」など、任意の指標を選ぶだけで、多面的な角度から改善点を見つけ出すことができます。様々な切り口で綿密な分析を行い、webマーケティングのPDCAサイクルを回していきましょう。
https://main--bacom-blog--adobecom.hlx.page/jp/blog/fragments/offer-003334-data-driven-b2b-marketing
Adobe Marketo Engage導入事例を紹介 逸品弁当
以上のように、豊富な機能によってユーザー企業のwebマーケティングを全面支援できるのが Adobe Marketo Engageの大きな特徴です。
では、実際のwebマーケティング現場において Adobe Marketo Engageはどのように活用されているのでしょうか? 具体的な導入事例を1つ紹介しましょう。
株式会社ソラド様は、料亭の仕出し弁当や、華やかな洋食の創作御膳などを提供する高級弁当ポータルサイト「逸品弁当」を運営しています。
同社では販促活動の一環としてメール配信を活用していますが、社員数は全社でも12名と非常に少なく、webマーケティングに割ける人材も限られているため、配信対象者のデータを抽出してメールを配信するまでの作業はかなりの負担でした。
しかし Adobe Marketo Engageなら、あらかじめ対象者をセグメントし、配信する順序やタイミングなどを設定しておくだけで、自動的にメールが配信されます。その結果、配信作業にかかる工数が大幅に削減され、少人数でも処理できるようになっただけでなく、それまで手が回らなかった多くのキャンペーンを実施できるようになりました。
「逸品弁当」では、特定のキャンペーンメールの配信だけでなく、リードナーチャリング(見込み顧客の育成)にも Adobe Marketo Engageを活用しています。顧客のスコアに応じてメールの内容や配信頻度を最適化した結果、 Adobe Marketo Engage導入以前は3~4%だったメールの開封率が、最高62%にまで改善しました。 Adobe Marketo Engageには、開封やクリック数によって顧客のスコアが変動すると、自動的に「Cold」「Warm」「Hot」という3つのグループに振り分けられ、自動的に配信設定が変更される仕組みも用意されています。顧客の温度差に応じてコンテンツを出し分けられるようになったことは、リピート注文の増大に結び付きそうです。
また「逸品弁当」では、以前は新規リードの流入経路がwebサイトからの注文か電話の2択しかなかったのですが、 Adobe Marketo Engageを導入後、カタログダウンロードをきっかけにリードを獲得する取り組みを始めました。カタログダウンロードに誘引するためのランディングページも Adobe Marketo Engageのテンプレートを使って作成。このテンプレートがあればスマートフォンのECサイトも簡単に作れるので、「逸品弁当」はそれまで持っていなかったスマートフォン用サイトを新設し、受注チャネルの多様化も実現しています。
このほか同社では、先ほども紹介した Adobe Marketo Engageの広告連携機能を活用。Facebookによるリード獲得顧客の配信や、 Adobe Marketo EngageでセグメントしたデータをGoogle Adsに渡して施策の効果測定を行うなど、 Adobe Marketo Engageのデータを有効活用しています。
その結果、「逸品弁当」は Adobe Marketo Engageの導入から1年で、「広告費50%削減、注文数45%増加」という目覚ましい成果を上げることができました。
同社のほかにも、様々な規模や業種の企業が Adobe Marketo Engageを使って成功を収めています。こちらで活用事例をご紹介していますので、ぜひ参考になさってみてください。
webマーケティング用語
最後に、基本的なwebマーケティング用語や、当記事で頻出したマーケティング用語をまとめました。
検索エンジン
情報を検索するシステム。例えば、GoogleやYahoo!など。特に、インターネット上の情報を検索するシステムのことを指します。狭義の検索エンジンは、ロボット型検索エンジン、ディレクトリ型検索エンジン、メタ検索エンジンなどに分類されます。広義の検索エンジンとしては、ある特定のウェブサイト内に登録されているテキスト情報の全文検索機能を備えたソフトウェア(全文検索システム)等があります。
スコアリング
スコアリングとは、リード(見込顧客)を属性や行動によって評価し、自社との相性、お客様の関心領域の理解、そしてアプローチの優先順位を決めるための評価方法です。
スコアリングについての詳細はこちらの記事をご覧ください。
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Adobe Marketo Engage
MA分野のリーダーと評価され、エンゲージメント マーケティングやABMを特長とし、全世界の企業に導入されているアドビのマーケティングオートメーション製品。もう少し具体的には、企業が顧客一人ひとりにあった内容、タイミング、方法によるコミュニケーションをとるためのプラットフォーム。顧客一人ひとりとのエンゲージメントを通じて、マーケターの課題である、「ブランドの確立」「収益の向上」「効果の証明」を実現します。
https://main--bacom-blog--adobecom.hlx.page/jp/blog/fragments/page-customer-success-stories
マーケティングオートメーション(MA)
マーケティングオートメーション(MA)とは、顧客一人ひとりとの関係構築を通じた収益の向上を目的とし、営業マーケティング施策の自動化、収益プロセス全体の効果測定を実現するマーケティングプラットフォームです。
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顧客関係管理(CRM)システム
顧客関係管理(CRM)システムは、自社の従業員やサービスと顧客との接点を記録するためのシステムであり、顧客の基本情報に紐づいて様々な情報を記録し活用するために使われます。
CRMシステムについての詳細はこちらの記事をご覧ください。
コンテンツ管理システム(CMS)
CMSは、webをはじめとするデジタルチャネルに、コンテンツを制作、編集、公開するためのソフトウェアです。CMSは、インターネット黎明期から発展してきた古い歴史がありますが、近年はヘッドレスCMSやDXP(デジタルエクスペリエンスプラットフォーム)など、さらなる進化を遂げています。
CMSについての詳細は、こちらの記事をご覧ください。
エンゲージメント
ユーザーとブランドや企業との結びつきを意味します。エンゲージメント率が高い=ユーザーの企業やブランドに関する関心が高いとされます。SNSにおいて「いいね」をしてくれたりコメントしてくれたりするユーザーはエンゲージメントが高いといえます。
エンゲージメントについて、詳しくはこちらの記事をご覧ください。
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カスタマージャーニー
カスタマージャーニーとは、ペルソナの動き(行動、思考、感情)を時系列で見える化したものを指します。直訳すると「顧客の旅」になります。ペルソナの動きを見える化することで、顧客とのタッチポイントを洗い出し、適切な場所やタイミングで適切な情報を伝えることができるようになります。
カスタマージャーニーについての詳細はこちらの記事をご覧ください。
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リード
リードとは、いわゆる見込顧客を意味します。とはいえ会社や団体、ビジネスモデルや社内の部門などによってさまざまな定義が存在しており、例えば、「展示会やイベントなどで名刺など個人情報を入手した顧客」「店を見ながら店の前と通りすがる顧客」「会員登録などはせずにwebサイトに訪問しただけの顧客」です。こういった企業や事業によって定義が異なる理由は、商品やサービスのマーケティング活動ごとによって、何をもって見込顧客とするのか、という解釈が異なるからです。
リードの詳細については以下の記事にてご紹介しています。
リードジェネレーション
リードジェネレーションとは、見込顧客を実名化し、企業から直接コミュニケーションを取れる状態にすることです。
つまり、見込顧客(リード)を獲得するための活動のことです。この活動が上手くいくと、ターゲット顧客の調査とその管理に費やす時間を減らして、営業活動に割く時間を増やすことができます。
リードジェネレーションについて、詳しくは次の記事が参考になります。
リードナーチャリング
リードナーチャリングとは、見込顧客を育成する活動のことです。リードジェネレーションによって獲得した見込顧客と、メールや電話などで有益な情報提供を中心としたコミュニケーションを行い、自社に少しずつ興味や関心を高める(育成)ことにより、将来的な購買につなげるためのマーケティング活動を指します。
リードナーチャリングについての詳細はこちらの記事をご覧ください。
リードクオリフィケーション
リードクオリフィケーションとは、見込顧客の検討の可能性があるかどうかの確認、判断をすることです。もう少し踏み込んだ言い方をすると、「優先的にアプローチすべき顧客かどうか」という判断をする活動がリードクオリフィケーションです。
リードクオリフィケーションにおいては、見込顧客を見極めることがとても重要です。詳しくはこちらの資料をご覧ください。
https://main--bacom-blog--adobecom.hlx.page/jp/blog/fragments/offer-003353-why-should-use-abm
次のステップ
MA分野のリーダーであるAdobe Marketo Engageについてより詳しく知りたい場合は、アドビにお問い合わせください。