2026年5月15日、「世界の最前線と先進企業の実践 - 関西から拓くデジタル戦略」と題し、大阪初開催となるAdobe User Group -Leaders Meetupを開催しました。
本記事では、ヤンマーホールディングス株式会社 西渡希夫氏のお話から、同社が取り組む顧客中心のグローバルマーケティングをピックアップしてご紹介します。
また、ディスカッションやクイズセッションなど、50名近くの参加者の皆様同士で交流していただく時間も設けました。会場では活発な意見交換が続き、事後アンケートにも多くのフリーコメントが寄せられるなど、参加者の皆様の熱量の高さがうかがえるイベントとなりました。
ヤンマーが目指す、顧客中心のグローバルマーケティング
ヤンマーホールディングス株式会社 マーケティング部 事業マーケティング部 部長の西渡希夫氏は、同社がこれまで培った技術や顧客との関係を生かしたソリューション型ビジネスを、マーケティングの面から包括的に支援する役割を担っています。大地・海・都市のフィールドで、エンジンなどのパワートレインを軸に、アグリ・建機・マリン・エネルギーシステムなどの事業をグローバルに展開するヤンマー。その中で、事業や地域を超えてどのように顧客体験の軸をそろえるか。その改革の現在地を語りました。
西氏によると、「ブレない顧客体験」は、デザイン、ロゴ、カラー、コピーの一貫性だけで実現するものではありません。その土台となるのは、ヤンマーのパーパス「A SUSTAINABLE FUTURE —テクノロジーで、新しい豊かさへ。—」を全従業員が念頭に置き、顧客中心の視点で情報を設計することです。各事業会社がそれぞれの目的やKPIに沿って発信すると、企業側が届けたい情報に偏りがちです。しかし、お客様は自らの課題や悩みを解決するために情報を探しています。だからこそ、ペルソナやコンセプト、製品の顧客価値を起点に、お客様の課題解決に役立つ情報を準備することが、企業に求められる役割だと強調しました。
グローバルで施策を運用する上で、西氏が挙げた課題は「裁量とガバナンスをどう設計するか」です。本社がすべてを担えば実行スピードが落ちる一方、現地に任せきると一貫性や整合性を保ちにくくなります。製造業で複数社の経験を持ち、中国にも5年間赴任したことのある西氏は、このバランスは多くの企業に共通する課題だと言います。共通の原則を守りながら、市場を熟知する各地域が動ける余地をどう作るか。ヤンマーでも、これから本格的に向き合う改革テーマの一つだと説明しました。
AI時代の情報発信についても、西氏は「デジタルマーケティングの設計思想そのものが変わる」と指摘しました。これまでは人が読むことを前提にコンテンツを作ってきましたが、今後はAIも情報の受け手の一人として捉える必要があります。ただし、AIへの技術的な最適化はあくまで手段(How)であり、企業が誰のどのような課題を解決するのかという軸は変わりません。AIによる情報取得を意識しながらも、顧客中心のマインドセットを失わず、本当に届けるべき情報をつくることが重要だと語りました。
西氏は、ヤンマーの取り組みはまだ改革の途上にあるとも率直に話しました。特にこれから難しさが増すのが、ガバナンスの領域です。1 社だけで答えを出すのではなく、同じ課題を抱える企業同士がつながり、情報を交換しながらデジタル活用の方向性を考えていきたい。その言葉は、参加者の皆様同士の対話を重視した今回のLeaders Meetupの趣旨とも重なりました。
ヤンマーホールディングス株式会社
マーケティング部 事業マーケティング部 部長
西 渡希夫氏
参加者の事後アンケートでは、顧客体験の一貫性について「デジタルマーケティングの実施や個々の指標を追うことが先行し、施策がまとまりを欠いていた。まずは一貫したパーパスを意識し、マーケティングに関わる全担当者とコンセンサスを得たい」という声が寄せられました。また、「海外子会社との関係におけるガバナンスと裁量の難しさは各社共通の課題だと再認識した」「現場からのリアルな話を聞き、自分が抱える課題の解像度が上がった」といった感想もあり、西氏の率直な言葉が参加者の皆様それぞれの実務を見直すきっかけとなったことがうかがえます。
アドビと共に関西からグローバルへ、横のつながりから広がる新たな可能性
各セッションの合間に設けたディスカッションタイムには、参加者の皆様に、西氏のお話を受け、率直な感想や自社で抱えている課題などについて、近くの席の方々と情報交換をしていただきました。
そして最後のクイズセッションでは、2〜4名で即席のグループを作り、イベント内容にまつわるクイズに挑戦していただきました。セッションをしっかり理解していないと答えられない問題ばかりでしたが、皆様すばらしい正答率でした。
本イベント終了後のネットワーキングでも交流は続きました。アンケートには、「関西にゆかりのある企業のセッションを聞く機会が大変参考になった」「聞くだけでなく、多くの方と話せたことがありがたかった」という声に加え、社内でのプレゼンス向上や自部門の戦略をやり遂げるためのビジネスプランにも示唆を得たという感想が寄せられました。さらに、すでにグローバルサイトを運営する参加者からは、「構築後にどう活用し、売上につなげるかはまだ道半ば。今後も交流したい」との声もありました。共通の課題を持つ企業同士が継続的につながる場への期待が、数多くのフリーコメントから伝わってきました。
アドビは単なるツールベンダーではなく、皆様のビジネスをご支援するパートナーとして、これからも様々な形で伴走させていただきたいと考えております。Adobe User Group -Leaders Meetupの次回の開催をどうぞお楽しみに。