成功するデジタルマーケティング施策とは?代表的な手法や事例から学ぶ
デジタルマーケティング施策は、マーケティング戦略の中核を担うものです。デジタルマーケティング施策を実施する目的は企業によって異なりますが、どの企業においても、ビジネスの成功には欠かせません。
そのため、経営陣やマーケターは、優れたデジタルマーケティング施策とは何かを理解している必要があります。
この記事では、デジタルマーケティング施策の概要やメリット、代表的な手法とともに、様々な企業の成功事例を紹介するので、参考にしてください。
目次
デジタルマーケティング施策とは?
デジタルマーケティング施策とは、デジタル技術を駆使した、自社を宣伝するための戦略的な取り組みのことです。
Webサイト、SNS、アプリといったデジタルメディアや、パソコン、スマートフォン、タブレットといったデジタルデバイスなどを通じてマーケティングを実施します。
ただし「デジタル」マーケティングだからといって、必ずしもオンラインで完結するわけではありません。デジタル技術を取り入れて、オンライン/オフラインを問わず製品やサービスの購買を促進する仕組みを作ることが、デジタルマーケティング施策です。
デジタルマーケティングの概要についてさらに詳しくは、以下の記事を参考にしてください。
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デジタルマーケティング施策とwebマーケティング施策の違い
デジタルマーケティング施策と混同しやすい戦略に「webマーケティング施策」があります。
Webマーケティング施策とは、webサイトやweb広告、SNSといった、インターネット上に特化した戦略的な取り組みを指します。
一方のデジタルマーケティング施策は、デジタルデータを取得、活用するあらゆるマーケティング施策の総称です。
デジタルマーケティング施策を実施する目的によっては、IoT(Internet of Things)やAI、ビッグデータなどの最新テクノロジーも取り入れることになるでしょう。
つまりデジタルマーケティングは、webマーケティングの上位概念だといえます。
デジタルマーケティング施策を行うメリット

デジタルマーケティング施策を行うメリットは、一言でいえば「ビジネスを効率的に成長させられる」ことです。そのため、多くの企業がデジタルマーケティング施策に投資をしています。
ここからは、デジタルマーケティング施策を行うメリットをより詳しく見ていきましょう。
消費者との様々な接点を持つことができる
デジタルマーケティング施策では、複数のデジタルチャネルを通して消費者と接点を持てます。チャネルとは、集客のための場所や経路のことです。
オンライン/オフラインを問わずに、企業と消費者がコミュニケーションを取ることができるので、効率的にブランド認知度の向上や購買促進を実現可能でしょう。
また、チャネルの種類が多いことで、消費者のニーズをあらゆる角度から把握できる点もメリットです。ニーズ分析の精度が高まり、よりよいマーケティング施策の打ち出しにつながります。
低コストで施策を展開できる
見込み顧客にDMを送付したり、セミナーを開催したりするような従来のマーケティング施策では、印刷代や郵送料、会場使用料、交通費などの費用が発生します。
一方デジタルマーケティング施策なら、従来のマーケティング施策でかかっていたこれらのコストを大幅に削減できます。
このように、アナログの施策と比べて低コストで展開できるのも、デジタルマーケティングの魅力です。
リアルタイムで検証や改善ができる
デジタルマーケティング施策では、消費者の行動に関するデータをリアルタイムで取得できます。
デジタル技術を駆使するので施策の効果測定がしやすく、スピーディーなフォローや改善につなげられるでしょう。
これにより、効率的に施策の成功を目指せるのはもちろんのこと、顧客体験(CX)の向上も実現できます。
ツールを活用して容易に規模を拡大できる
デジタルマーケティング施策では、MA(マーケティングオートメーション)ツールやCRMツール、アクセス解析ツールなどを活用することで業務の効率化が期待できます。
例えば、デジタルマーケティング施策でMAツールを活用すると、以下のような作業を自動化できます。
- 見込み顧客(リード)の管理
- シナリオにもとづくメール配信
- SNS投稿のスケジューリング
- キャンペーンのトラッキング
- オフラインデータの取り込み
ツールの活用によって、上記のような業務の負担を軽減できれば、マーケティング施策の規模を簡単に拡大させられるでしょう。
デジタルマーケティング施策の代表的な手法一覧

デジタルマーケティング施策の代表的な手法として、以下の6つが挙げられます。
- デジタル広告
- メールマーケティング
- SNS運用
- SEO対策
- ウェビナー
- ホワイトペーパー
ここでは、各手法の概要を解説します。
1.デジタル広告
デジタル広告は、インターネット広告やweb広告、オンライン広告などとも呼ばれる広告手法の総称です。具体的には、以下のような種類があります。
- リスティング広告(検索連動型広告)
Googleなどの検索エンジンにおいて、ユーザーの検索キーワードに応じて検索結果ページに掲載するテキスト広告。
- ディスプレイ広告(バナー広告)
Webサイトやアプリの広告枠に掲載する広告。画像や動画、テキストを組み合わせることができる。
- リターゲティング広告
ユーザーの過去の訪問履歴(閲覧履歴)にもとづいて表示させる広告。
- SNS広告
各種SNSのプラットフォームに掲載する広告。タイムラインやおすすめ欄などに表示される。
デジタル広告は、出稿時にターゲットを細かく指定できるので、高いマーケティング効果を発揮します。
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2.メールマーケティング
メールマーケティングは、メールの配信を通じてターゲットとコミュニケーションを取り、最終的に自社の製品やサービスへの申し込みへとつなげる手法です。具体的には、以下のような種類があります。
- メールマガジン
新商品やキャンペーンなどの情報を、定期的に全ユーザーへ一斉配信するメール。
- セグメントメール(ターゲティングメール)
ユーザーの属性などの条件に応じて対象を区分し、ニーズにマッチする情報やクーポンを配信するメール。
- ステップメール
ユーザーの検討レベルに応じて、事前に用意した内容を段階的に自動配信するメール。
- リターゲティングメール
「商品ページを閲覧した」「カートから離脱した」など、一定の行動履歴があるユーザーに対して配信するメール。
- 休眠発掘メール
一定期間動きのないユーザーに対し、アクションを促して関係を維持するために配信するメール。
メールマーケティングは比較的コストがかからないので、手軽に始めやすいことが利点です。
なお、メールマーケティングの詳細は、以下のガイドでも解説しているので参考にしてください。
https://main--bacom-blog--adobecom.hlx.page/jp/blog/fragments/offer-003329-ma-basic-email-marketing
3.SNS運用
SNS運用は、Twitter(現:X)やInstagramなどを通して、企業とユーザーの双方向のコミュニケーションを実現できる手法です。また、BtoCマーケティング施策だけでなく、BtoBマーケティング施策でも有効です。
ただし、SNSによってユーザー層や性質が異なるので、自社の製品やサービスに合わせて見極める必要があります。
4.SEO対策
SEO対策(検索エンジン最適化)は、Googleなどの検索エンジンの検索結果において、自社サイトを上位表示させるための手法です。成果が出るまでには時間を要しますが、着実に認知を拡大できます。
なお、Googleマップの検索結果において、上位表示させるための手法は「ローカルSEO」または「MEO(マップエンジン最適化)」と呼ばれます。
https://main--bacom-blog--adobecom.hlx.page/jp/blog/fragments/offer-ma-dg2ecm
5.ウェビナー
ウェビナーとは、ビデオ会議ツールを用いて、web上で実施するセミナーのことです。
一例として、参加者に役立つノウハウや事例を紹介したうえで、自社の製品やサービスも訴求するケースが挙げられます。
ウェビナーなら開催場所に縛られないので、対面のセミナーに比べて集客しやすいのが特徴です。
配信方法には、リアルタイムの「ライブ配信」のほか、好きなときに視聴できる「オンデマンド配信」があります。オンデマンド配信なら、開催場所だけでなく、時間にも縛られません。
6.ホワイトペーパー
ホワイトペーパーとは、自社が持つノウハウや製品/サービス情報、調査レポートなど、有用な情報をまとめた資料を指します。Webサイトに掲載し、企業名やメールアドレスなどを登録することでダウンロードできる仕組みになっていることが多いでしょう。
ホワイトペーパーがダウンロードされると、見込み顧客の興味/関心度合いを把握できます。よって「このホワイトペーパーをダウンロードした方にはこのメールを送る」といったような、さらなる施策の展開も可能になります。
デジタルマーケティング施策の成功事例10選
デジタルマーケティング施策は前章のとおり、多くの選択肢があります。既に成功を収めているデジタルマーケティング施策を研究し、自社の製品やサービスに合った手法を選ぶことが重要です。
ここでは、世界のデジタルマーケティング施策において、特に高い効果が得られた10の成功事例を紹介します。
1.Airbnb
https://www.youtube.com/watch?v=aA6UaOAaJaI
出典:https://www.youtube.com/watch?v=aA6UaOAaJaI
宿泊施設を提供するホストと、世界中の旅行者(宿泊客)のマッチングサービスを提供するAirbnb。
2021年、Airbnbは「Made Possible By Hosts」というデジタルマーケティング施策を実施し、UGC(ユーザー生成コンテンツ)を活用した「Forever Young」動画を配信しました。
スライドショー形式の動画では、情緒的なサウンドトラックに合わせて旅行写真を紹介し、顧客がAirbnb物件で楽しく過ごしている様子が伺えます。
Airbnbの魅力的な物件やアクティビティをさりげなく紹介するだけでなく、Airbnbで旅行を予約する際の高揚感も強調。ナレーションがなくても「思い出に残る旅に出ませんか」と視聴者に訴求でき、世界中で1,700万回という驚異的な再生回数を記録しました。
このデジタルマーケティング施策は、ホストと宿泊客の両方をターゲットとし、物件の掲載と予約を促進することで、大きな成功を収めました。
Airbnbの事例から、次のことを学べます。
- 動画コンテンツへの投資
多くの消費者は、動画を好んで視聴します。動画を活用することで、より説得力のあるストーリーで消費者の共感を得られます。
- ミュートフレンドリーなコンテンツ
オーディエンスの75%が、モバイルデバイスでサウンドをオフにして動画を視聴していることから、重要なポイントです。
出典:DIGIDAY|75% of people watch mobile videos on mute: What that means for advertisers
- UGCの活用
UGCは、顧客がAirbnb物件で楽しい時間を過ごしていることを示す証明となります。
- 感情に訴えるコンテンツ
科学的根拠や統計データを紹介するのではなく、共感を呼ぶ画像と音楽を組み合わせてストーリーを配信し、訴求しています。
2.ユニクロ
カジュアル衣料品を販売するユニクロは、オーストラリア市場でヒートテック製品の売上を伸ばすための、革新的な方法を求めていました。そこで同社は、オムニチャネル体験を通じて、実店舗とオンラインの両方で顧客にプレゼント企画への参加を促すことにします。
この取り組みを実施するにあたり、オーストラリア全土の100か所にデジタル看板を設置し、YouTubeとFacebookで動画を配信。看板や動画に表示される一意のコードを撮影し、同社の施策ページにアップロードするように呼びかけました。
さらに、ヒートテック製品の基本情報の拡散、Tシャツの無料進呈や割引コードなどのオファーの提供、マーケティングニュースレターへの登録の促進といった施策も実施します。
このとき、参加者がソーシャルメディアを通じて友人に共有できるようにしたことで、大きな成果につながりました。実際、同社はこれらの施策を通じて、130万回の動画再生回数、2万5,000人のニュースレター登録者、3万5,000人の新規顧客の獲得に成功しています。
ユニクロの事例から、次のことを学べます。
- 無料の製品や割引で注目を集める
Tシャツの無料進呈のような、魅力的なオファーは消費者の関心を惹きつけます。
- 共有可能なデジタル体験の構築
企画参加者が、自身の体験を友人と共有できるようにすることで、口コミを通じた拡散を期待できます。
- オムニチャネル体験の推進
デジタルマーケティング施策は、ソーシャルメディアだけに限定されません。ユニクロのデジタル看板は、実店舗の買い物客をデジタルの世界に引き込み、オフラインとオンラインの両方で話題を生み出しました。
- 継続的なデジタルナーチャリング
製品を無料で配布するだけでなく、製品に関する情報を提供し、見込み顧客にニュースレターを登録するよう促しました。
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3.American Express

出典:https://www.americanexpress.com/en-us/business/trends-and-insights/
American Expressは、法人向けクレジットカードの分野をリードする大手クレジットカード企業です。2007年、同社はwebサイトのSEOを改善してより多くのビジネスオーナーを惹きつけ、リーダー企業としての地位を確立したいと考えていました。
そこで同社は、webサイト内にOPEN Forumを立ち上げ、様々な業界の専門家を招待してゲスト投稿を依頼します。
外部パートナーの協力によって、マーケティング、セールス、起業家精神、財務、生産性などに関する高品質なコンテンツを迅速に制作でき、社内の負担も軽減されました。
また、外部パートナーは、制作したコンテンツを各ネットワークで拡散し、同社のリーチ拡大に貢献しました。
現在、同施策は「Trends and Insights」という名称で引き続き展開されています。これは、新規顧客を獲得するための重要なコンテンツマーケティング施策のひとつとなっています。
American Expressの事例から、次のことを学べます。
- ゲスト投稿の推進
コンテンツを定期的に制作するには多くのリソースが必要です。各業界の専門家と提携することで、高品質で信頼できるコンテンツを調達できます。
- 口コミによるコンテンツの共有を促進
American Expressのゲスト投稿者は、公開されたコンテンツを積極的に拡散し、OPEN Forumを宣伝しました。
- 専門知識の共有
ゲスト投稿は、コンテンツ制作の外部委託を通じて、より幅広いオーディエンスに有益な情報を提供するのに役立ちます。
- コミュニティの構築
American Expressは、OPEN Forumを通じてビジネスリーダーとしての地位を確立しただけでなく、各分野の専門家が交流できる、信頼性の高い拠点を提供しました。
4.Slack
Slackは、ビジネス向けのチャットツールを提供しています。同社は、創業当初から顧客のフィードバックと顧客体験を重視し、効果的な協働プラットフォームを構築しました。
ほかのテック企業も競合ソリューションを提供するなか、同社は口コミを通じたプロモーションをマーケティング戦略の主軸に据えました。
具体的には、デジタルマーケティング施策「The Wall of Love」を立ち上げ、専用のTwitter(現:X)アカウント(@SlackLoveTweets)を作成。そのアカウントにおいて、自社に関する肯定的な投稿をリツイートしました。
この施策により、Slackは毎日800万人を超えるアクティブユーザーが利用するプラットフォームへと成長しました。
Slackの事例から、次のことを学べます。
- 共有プロセスの簡素化
レビューコンテンツを収集するために独自のプラットフォームを立ち上げるのではなく、既存のSNSを活用しました。これにより、オーディエンスは施策に容易に参加できました。
- 顧客からのフィードバックの活用
自社製品に関する肯定的なツイートは、社会的証明の一種です。さらに、レビューコンテンツは顧客が直面している課題や、人気のある機能を把握するのに役立ちます。
- ソーシャルメディアにおけるビジュアルの活用
The Wall of Loveでは、多くのコンテンツに画像を挿入することでオーディエンスの注目を集め、施策の認知度を向上しました。
5.Dove

出典:https://www.dove.com/us/en/campaigns/purpose/showus.html
スキンケアブランドのDoveは、女性の日常生活に焦点を当てたデジタルマーケティング施策を展開したいと考えていました。女性の70%が広告に親近感を感じていないことに気が付いた同社は、2019年に「Project #ShowUs」という施策を実施します。
この施策では、女性クリエイターと企業をつなぐプラットフォーム「Girlgaze」を通じてクリエイターと提携し、ストック画像などのコンテンツを調達しました。また、コンテンツを通じて、クリエイター自身の個性を表現できるようにした点もポイントです。
現在は、女性によって構築された、世界最大級のストックフォトライブラリとして成長。デジタルコンテンツ素材を提供するGetty Imagesでは、1万点以上の画像が公開されており、売上の10%が同施策の運営資金として使用されています。
この施策は同社に成功をもたらしただけでなく、表現の自由という社会的な課題にも貢献したのです。
Doveの事例から、次のことを学べます。
- 大きなミッションを掲げる
自社の成功だけでなく、社会的なインパクトをもたらすデジタルマーケティング施策を構築しましょう。表現の自由、性別の固定観念、賃金格差など、施策を通じて社会的な課題に取り組めます。
- クリエイティビティの解放
加工されたファッションモデルの画像だけでは、オーディエンスの心を掴むことはできません。多様性に富んだ画像を活用することで、幅広いオーディエンスとつながり、ロイヤルティを向上させられます。
- ビジュアルを通じたストーリーテリング
百聞は一見にしかず。マルチメディアを活用して、オーディエンスの共感を呼びましょう。
6.Lyft
Lyftは、米国に拠点を置くライドシェア企業です。同じくライドシェア企業のUberとの熾烈な競争に直面した同社は、利用者をロイヤル顧客に転換する必要がありました。
同社の目標は、利用者による口コミを促進することで、コストを抑えながら自社のプラットフォームを拡大することでした。
Lyftのリファラル施策では、利用者はアプリ、電子メール、SMSを通じて、新規の顧客やドライバーを招待できます。紹介報酬として1週間あたり最大2,000ドルの無料乗車を提供しました。
Lyftの事例から、次のことを学べます。
- ロイヤル顧客化の推進
多くの企業は、紹介プログラムの効果を軽視しがちです。Lyftは、アプリに紹介プログラムを組み込むことで、ロイヤル顧客化を容易に促進できることを実証しました。
- 有意義なインセンティブの提供
報酬に価値がなければ、顧客はサービスを紹介しようとしません。顧客の行動を促す、魅力的なインセンティブを提供しましょう。
- リファラルプロセスの簡素化
ソーシャルメディア、SMS、電子メールで「共有」ボタンを提供し、紹介コードを簡単に共有できるようにしました。紹介が容易であればあるほど、施策のパフォーマンスは向上します。
- パフォーマンスの追跡
アカウントごとに一意のコードを割り当てることで、ロイヤル顧客を追跡できるようになります。これにより、優良顧客に対してよりよいインセンティブの提供や、ほかのデジタルマーケティング施策への参加促進ができます。
7.Red Bull

出典:https://www.redbull.com/us-en/projects/red-bull-stratos
Red Bullは、アドベンチャースポーツやエクストリームスポーツのスポンサーを通じたマーケティングで知られています。2012年、同社は「Stratos」というデジタルマーケティング施策を展開し、大きな注目を集めました。
この施策では、ある男性が成層圏からのフリーフォールスカイダイビングに挑戦し、ギネス世界記録を破るまでの様子をライブストリーミングしました。
「人間の限界に挑戦すること」を目的とした施策でしたが、世界記録を達成しただけでなく、同社の予想を上回る反響を獲得。実際に、YouTubeで680万回もの再生回数を記録したのです。
Red Bullの事例から、次のことを学べます。
- ライブストリーミング
ライブストリーミングは、即時性とコミュニティへの帰属意識をもたらします。「Stratos」がどのように展開するのか誰も予測できませんでしたが、そうした先の読めない展開がさらなる高揚感につながりました。
- プロモーションよりもコンテンツの質を重視
動画配信では、同社のロゴが目立つように掲載されていましたが、動画の内容自体はビジネスとは無関係なものでした。同社はこの動画を通じて、ブランドアイデンティティの一部であるリスクへの挑戦、達成感、熟練、興奮を表現したのです。
- 限界への挑戦
Red Bullのデジタルマーケティング施策が成功した理由のひとつとして、世界新記録を達成したことが挙げられます。新たなクリエイティビティに挑戦し、自社を売り込むことが可能です。
- ストーリーテリング
「Stratos」は、成層圏からスカイダイビングする様子を配信するだけでなく、そこに至るまでのストーリーを伝えています。
8.Sephora
実店舗を展開する多くの企業がデジタル化への移行に苦慮するなか、化粧品ブランドのSephoraは急成長を遂げています。同社が成功している理由のひとつは、オムニチャネル体験に重点を置いたデジタルマーケティング施策を展開していることです。
例えば、同社のアプリは、実店舗のショッピング体験を模しています。AI(人工知能)とAR(拡張現実)により、顧客は自宅にいながら化粧品を試すことが可能です。
また、このアプリは同社のコマースプラットフォームと連携しているので、顧客は数回タップするだけで簡単に決済できます。同社は、エンゲージメントデータと位置情報データをもとにアプリ内での提案をカスタマイズし、コンバージョン率の向上に成功しました。
Sephoraの事例から、次のことを学べます。
- 豊かな体験の構築
顧客が購入したい製品を直接体感できる、インタラクティブな体験を提供しています。
- オムニチャネルへの投資
Instagram、TikTok、実店舗など、様々なチャネルで対応することにより、顧客は自身のニーズに合わせて、柔軟に企業と関われるようになります。
- データにもとづいたパーソナライゼーション
顧客データを収集し、それをもとにショッピング体験をパーソナライズしましょう。
- 消費者の信頼を獲得
AR試着機能により、顧客はデジタル環境で製品を試せます。これにより、製品に対する不安を排除し、コンバージョンにつなげられます。
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9.Heineken
https://www.youtube.com/watch?v=dD6r53DWxwk
出典:https://www.youtube.com/watch?v=dD6r53DWxwk
ビールメーカーのHeinekenは、性別に関する固定観念を払拭するために「Cheers to All」というデジタルマーケティング施策を展開しました。
この施策では「男性もカクテルを」というスローガンを掲げ、男性がカクテルを、女性がビールを楽しむ様子をアピールし、性別と飲酒に関する従来のイメージを打ち破りました。
同社はこの施策を通じて、ビール業界の固定観念を打破しながら、性別を問わず、幅広いオーディエンスに自社のビールをさりげなくアピール。動画は大きな反響を呼び、YouTubeで80万回近く再生されました。
Heinekenの事例から、次のことを学べます。
- 意表を突く
女性はフルーティなカクテルを注文し、男性はビールを注文するという先入観を打ち破ることで、機知に富んだデジタルマーケティング施策を創出しています。
- 前向きな姿勢を維持
性別の固定観念を覆す施策は、否定的な表現になりがちです。しかし、今回の事例では、ポジティブなイメージを維持しながら固定観念を打ち破れることを実証しています。
- グローバルコンテンツの制作
ナレーションではなく画像を活用してストーリーを展開することで、地域と言語の枠を越えてコンテンツを共有することが容易になります。
- 特定のソーシャルメディアに集中
Heinekenは、YouTubeのリンクをほかのソーシャルメディアフィードで再共有しませんでした。これにより、再生回数とエンゲージメントが向上しました。
10.JetBlue
航空会社であるJetBlueは、カスタマーサービスを簡素化することで低コストを実現しているLCCとの差別化を図りたいと考えていました。そこで、カスタマーサービスとマーケティング活動の拠点として、Twitter(現:X)を活用することにします。
顧客の課題に即座に対処し、一人ひとりと良好な関係を築くために、顧客からのツイートに迅速に対応するよう努めました。
同社の最終目標は、顧客との信頼関係を強化し、迅速に支援が必要な旅行者にポジティブな体験を提供することです。
JetBlueの事例から、次のことを学べます。
- 顧客との関係の強化
あらゆる顧客のコメントに返信することで、顧客一人ひとりとの関係を深め、自社にとって顧客が特別であることを伝えています。
- 他社との差別化
製品の機能ではなく、顧客体験で勝負する企業が増えています。カスタマーサービスとサポートを強化することで、他社との差別化を図りましょう。
- セールスよりもサポートを重視
JetBlueは、人々にフライトを予約するよう直接促すのではなく、顧客を適切にサポートすることに重点を置いています。デジタルマーケティング施策を通じて、顧客に価値を提供することが大切です。
- 俊敏性の向上
旅行者はすぐに情報を必要としているので、JetBlueは旅行者からの問い合わせに迅速に対応するようにしています。AIや柔軟性の高いマーケティングソフトウェアを活用して、顧客とのやり取りを加速させましょう。
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デジタルマーケティング施策を成功に導く「Adobe Campaign」

デジタルマーケティング施策に取り組む際には、施策管理に活用するツールを検証し、施策の構築に必要な機能がそろっているかどうかを確認することが重要です。
アドビの「Adobe Campaign」なら、あらゆるチャネルをまたいでカスタマージャーニーの可視化と顧客データの統合を行い、施策とそのワークフローを一元管理できます。AIを活用した精度の高い分析や予測、ほかのアプリとのスムーズな連携も可能です。
パーソナライズされた魅力的な顧客体験を大規模に構築し、ブランドの影響力を向上させたい方は、Adobe Campaignを活用してください。
ツールを活用してデジタルマーケティング施策を効率化
デジタルマーケティング施策は、複数のチャネルで消費者と接触できること、低コストかつリアルタイムでの施策を展開できることなどから、ビジネスの効率的な成長に寄与します。
今回紹介した手法や成功事例のように、デジタルマーケティング施策を展開する方法は数多くあるので、顧客の関心を効果的に惹きつける方法を見つけましょう。
併せて、ワークフローやデータの一元管理、パーソナライゼーションなど、施策の成功に必要なあらゆる機能が備わった「Adobe Campaign」を活用してはいかがでしょうか。Adobe Campaignに関するさらに詳しい情報が気になる方は、お気軽にお問い合わせください。
(公開日:2023/5/12)