輸入高級乗用車「P」の顧客獲得
自動車のマーケティング課題として、「新車発売キャンペーン」「平時の顧客獲得」「アフターマーケティング」が想定されます。なかでも今回は、「そろそろ車を買い替えようかな」というニーズを起点にして、ターゲットの買いたい気持ちを高め、販売店に送客する「平時の顧客獲得」を取り上げます。
ターゲットとしては、「中の上クラス以上の国産車に乗っているドライバーで、車にはスポーティーさを何より求めるが、同時にシックさも求める。年収1,000万円以上で社会的ステータスも高め」と設定しました。しかし、これだけでは不十分。パーセプションについても考える必要があります。
ここではP自体のパーセプションを形成、もしくは変更することは狙わないことにします。特に『Pのことは知っているつもりだけど、好きじゃないし買いたくない車の一つ』といったネガティブなパーセプションの払拭は、いくらお金を積んでもそう簡単にはできないし、消費者のイメージは頑固だから大抵失敗します。本当にこの課題にトライするには商品設計まで踏み込んだ本格的、かつ長期的ブランド戦略を行う覚悟が必要となります。
今回はP自体のパーセプションではなく、"Pと私"の関係のパーセプションチェンジを狙っていく方法をとると言います。
そのために必要なパーセプションチェンジの全行程は以下の通りです。
次に、それぞれのパーセプションチェンジに必要な遷移指標を定めていきます。
点線で囲われた「カタログ請求、eBook DL」以外は、Webサイト上の閲覧行動ですので、Cookieだけで追いかけることになります。個人情報は取れるに越したことはありませんが、B2Cの場合、一消費者として、そこまで企業と仲良くなりたいか疑問が残ると小川は指摘します
「企業としてはもっと近づきたくても、消費者としては煩わしい。"何か用事がある時はこちらから行くから、そのときに適切で気持ちの良い対応をしてくれればいい、それ以外は近づかないでほしい"という感覚があると思います。メールアドレスを取って、ベタベタにコミュニケーションをとるのではなく、ゆるやかなエンゲージメントの方がいいのではないでしょうか」(小川)
この遷移指標をもとに、手法をカスタマージャーニーに落とし込んだのが以下の図です。
そして、スポーティー指向男性のペルソナを次のように設定しました。
この人のパーセプションチェンジを促すために用意したコンテンツを投入すると、以下のカスタマージャーニーが完成します。
「この人にWebパーソナライズするのであれば、トップページはワインディングロードを駆け抜けるPのかっこいい動画やエンジンの開発者が自らの成功哲学を熱く語る動画をいきなり出すといい。相手の興味に対してダイレクトにぶつかっていきます。もちろん同じペルソナとは限らないし、みんなが同じ期待をしていないかもしれないが、そんなときはカスタマージャーニーの骨組みは変えず、コンテンツの内容にバリエーションをつけることでがんばりましょう」(小川)