MAの運用を成功させるコツとは?MA運用時の注意点や解決方法を解説
MA(マーケティングオートメーション)の運用を成功させるコツについて、導入前に把握しておきたいというマーケティング担当者も多いでしょう。
実際、ここ数年の急速なデジタル化、デバイスの多様化などを受けて、MAを導入する企業は急増していますが、運用の段階で壁にぶつかるケースが少なくありません。
ここでは、MAを活用できていないマーケティング担当者や、MAの導入を検討している方に向けて、MAの運用を成功させるコツをわかりやすくご紹介します。
目次
- MAの導入が増加している理由
- MAの代表的な機能
- MAで解決できる課題
- MA運用時に注意したいポイント
- MAの運用を成功させるコツ
- MAの運用を成功させるには事前準備が重要
MAの導入が増加している理由
近年、MAの導入を決める企業が増加している背景には、大きく2つの理由があります。それぞれについて、詳しく見ていきましょう。
インターネットの普及による顧客行動や購入プロセスの多様化
インターネットの普及によって、顧客の購入行動や購入プロセスには大きな変化が生まれました。
製品やサービスに興味を持った顧客は、従来のように自社の担当である営業の連絡や訪問を待つことなく、みずから検索して情報を収集するようになったのです。
その結果、営業担当者がこれまでどおりにアポイントをとろうとしたときには、商品の選定はおろか、購入まで完了していることが珍しくなくなりました。自社の製品やサービスを選択肢に加えてもらうには、顧客に対してできるだけ早く接触機会を持ち、購入意欲の変化に応じてアプローチしなくてはなりません。
多様化・複雑化する顧客の行動に対して、オフラインでもオンラインでもいち早く対応していくために、マーケティングを自動化してくれるMAへの関心が高まっています。
既存顧客へのマーケティングの見直し
営業のプロセスのうち、顧客との接点づくりが、最も時間とコストを必要とします。新規開拓営業は、顧客との接点づくりを避けて通れませんが、既存営業は顧客との接点づくりにかかる時間とコストを省くことが可能です。
経営状態の変化によってコスト削減を優先する企業が増え、新規顧客よりも低コストで売上を獲得できる既存顧客との関係維持が重視されるようになりました。
MAは、既存顧客の情報を一元管理し、継続的なコミュニケーションを構築するのに適しているツールでもあります。しかし、MAを導入すればすべての課題が解決するわけではありません。課題が解決できるかどうかは、導入後の運用にかかっているため、導入前に想定される課題を洗い出しておくことが重要です。
MAの代表的な機能
MAは、新規顧客の開拓(リードジェネレーション)や見込み顧客の育成(リードナーチャリング)、モチベーションの高い顧客の抽出(リードクオリフィケーション)など、マーケティングにおける一連の流れを可視化し、自動化するツールです。続いては、MAの代表的な機能についてご紹介します。
顧客情報管理機能
MAの重要な機能のひとつが、顧客情報の管理です。
企業は、展示会への出展やセミナー開催、テレアポ、web広告、コンテンツマーケティングなど、オフライン・オンラインを含めて、さまざまな方法で見込み顧客の情報を獲得します。
こうした方法で取得した情報は、オフラインで得た名刺や、申込みフォームなどで得たデータなど、形式がバラバラになりがちです。また、営業担当が個人で情報を管理していたり、部署ごとにExcelなどで情報を管理していたりと、管理方法も統一されていない場合もあります。
MAを使うと、オフラインで交換した名刺をはじめ、オンラインで収集したメールアドレスや個人名(企業名)、既存顧客との取引履歴など、あらゆる顧客情報を集約し、一元管理することができます。
メール配信機能
メール配信機能は、多くの機能を持つMAの中でも利用頻度の高い機能です。MAは、顧客すべてに同一の情報を一斉送信できるのはもちろん、設定されたシナリオに沿って内容を変えていくステップメールや、設定したトリガーに応じて配信されるトリガーメールなども配信できます。
MAを活用することによって、メールの開封率やクリック率の測定はもちろん、メールからの流入によるアクセス履歴のトラッキングも可能です。これらの情報を基に、顧客一人ひとりが興味を持っているポイントや、その移り変わりを視覚的に把握して、適切な施策につなげることができます。
メールマーケティングについては、下記のページから無料でダウンロードできるeBookで詳しく説明しています。
https://main--bacom-blog--adobecom.hlx.live/jp/blog/fragments/offer-003329-ma-basic-email-marketing
webページ構築機能
MAを使えば、ランディングページや問い合わせフォームなどのwebページを、簡単に作成することができます。デザイナーやエンジニアにwebページの作成を依頼する必要がないので、便利な機能です。
シナリオ設定機能
MAには、行動や属性に応じてセグメントした顧客に自動的にアプローチできるよう、シナリオ設定機能が搭載されています。シナリオとは、マーケティングで求める成果を得るための筋書きのことで、「このページを見た顧客にこのメールを送信する」といったシナリオを設定しておくことで、タイミングを逃さず顧客にアプローチすることができます。
シナリオについては、下記の記事で詳しく説明しています。
【関連記事】MAのシナリオとは?成果を出すための設計手順を解説
SFAやCRMとの連携機能
MAは、営業支援ツールのSFA(Sales Force Automation)や、顧客管理ツールのCRM(Customer Relationship Management)と連携することができます。MAとSFAやCRMが連携することによって、見込み顧客の獲得からリピーター創出までのマーケティングを、より効率化することが可能です。
SFAとCRMについては、下記の記事で詳しく説明しています。
【関連記事】SFAとは?基本知識やCRM・MAとの違い、導入のメリット、成功事例を紹
【関連記事】CRMとは?基本知識やメリット、便利なツール、成功事例を紹介
スコアリング機能
MAのスコアリング機能とは、見込み顧客の行動に応じて点数をつける機能です。スコアリング機能を使うと、点数によって受注確度が高い顧客を可視化できたり、リスト化して営業に提供できたりするというメリットがあります。
リードスコアリングについては、下記のeBookで詳しく説明しています。
https://main--bacom-blog--adobecom.hlx.live/jp/blog/fragments/offer-ma-dg2ls
コンテンツのパーソナライゼーション機能
MAでコンテンツをパーソナライズすることも可能です。webサイトに来訪した顧客の情報をもとに、適切なコンテンツを表示します。webサイト上のあらゆるコンテンツの検索や分類を自動で行い、顧客に最適なコンテンツを瞬時に選び出すAIを搭載しているMAもあります。
コンテンツのパーソナライゼーション機能については、下記のページで詳しく説明しています。
【Adobe Marketo Engage】予測コンテンツ
MAで解決できる課題
MAを活用することで、マーケティングのさまざまな課題を解決することが可能です。どのような課題を解決することができるのか、具体的にご紹介しましょう。
顧客のニーズを捉えられず取りこぼしてしまう
顧客が増え続けるとそれぞれの顧客とのコミュニケーションが難しくなり、顧客のニーズの変化を見極めにくくなることもあるかもしれません。そうすると、顧客のニーズを捉えられず、取りこぼしてしまうという課題が生まれます。
MAは、顧客情報を一元管理し、顧客の行動を可視化できるため、ニーズが顕在化したタイミングでのアプローチが可能になり、顧客のニーズを捉えられず取りこぼしてしまうという課題を解決することができます。
マーケティング担当者の負担が大きい
顧客や施策が増加すると、マーケティングが複雑になり、マーケティング担当者の負担が大きくなるという課題が発生します。マーケティング担当者が手作業で行っていた作業をMAで効率化すれば、マーケティング担当者の負担増大という課題を解決することができます。
また、空いた時間でほかの業務を行うことで、生産性の向上も期待できるでしょう。
非効率な営業で成果が挙がらない
マーケティングの段階で顧客の購入意欲や受注確度を把握できていないと、営業が非効率になり、契約や売上などの成果が挙がらないという課題が発生してしまいます。
MAを活用すれば、顧客の購入意欲を高め受注確度を見極めた上で、優先順位をつけて営業ができるようになるため、営業を効率化することが可能です。
既存顧客のLTVが向上しない
企業が安定的な売上を得るためには、既存顧客のLTV(Life Time Value:顧客生涯価値)向上が重要です。
MAを導入すれば、最初にシナリオを設定するだけで、既存顧客へのアプローチを自動化できます。MAを活用して既存顧客にも継続的なアプローチを行うことで、既存顧客のLTV向上が期待できるでしょう。
MA運用時に注意したいポイント
MAの導入には多くのメリットがありますが、運用にあたって注意したいポイントがいくつかあります。続いては、MAを運用する際に注意したいポイントを見ていきましょう。
MA導入の目的をはっきりさせて運用する
自社の課題と、そのソリューションとなる施策やターゲティングが結びついていないと、MAを導入しても成果を実感することができません。「導入しただけ」の状態にならないよう、何のためにMAを導入するのか、成果として何を求めるのか、この2点を念頭に置きつつ運用しましょう。
MAを運用する体制を整備する
MAを扱える人材の不足は、MAを運用している企業によく見られます。
MAを運用するには、戦略設計、データマネジメント、コンテンツマネジメント、分析といった役割と、実施するためのスキルが必要になります。社内でMAを活用して成果を出すことへの理解とコミットがなく、リソースが不足していると、必然的に「できる人」に依存して属人化した運用体制になり、組織としてツールを使いこなすことができません。社内リソースを確保し、属人化しない運用体制を構築しましょう。
MAの機能を理解して活用する
「せっかくMAを導入したのに、メール配信にしか活用できていない」といったことにならないよう、MAの機能を理解して活用することが大切です。
MAは煩雑な作業の効率化に役立ちますが、導入しただけですべての作業が自動化されるわけではありません。他社のMA導入事例を基に、MAを使ってどのようなシナリオを実現できるのか、どのように社内の仕組みづくりができるのかを考えることが、MAの効果的な運用につながります。
MAの導入事例は、下記のページからご覧いただけます。
【Adobe Marketo Engage】ユーザー事例
顧客に配信するコンテンツが足りない
顧客に配信するコンテンツが足りない場合も、MAの効果を実感することが難しいでしょう。
MAの効果を実感するためには、webサイトやオウンドメディア、SNSなど、顧客とのタッチポイントに存在する各種コンテンツの充実が絶対条件です。コンテンツを充実させ、顧客の状態(ステージ)に応じた最適なマーケティングを実施することで、購入意欲を高めていくことができます。
なお、コンテンツは、必ずしもリッチなものである必要はありません。営業資料や社員のブログなど、自社で蓄積されている情報が活用できる場合もあります。社内でリソースを確保することが難しい場合は、コンテンツ制作を外注するのもおすすめです。
MAの運用を成功させるコツ
MAを導入しただけでは、マーケティングの課題をすべて解決できるわけではありません。運用時の注意点を踏まえて、MAの運用を成功させるコツをご紹介します。
MA導入前に要件定義を行う
MAで、マーケティングを「自動化」「効率化」できることばかりに注目し、MA導入そのものが目的になると、運用の段階でつまずいてしまいます。まずは、「何のためにMAを導入するのか」を考え、課題を洗い出してMAの要件定義を行いましょう。
要件定義を行う際には、現在のマーケティングにおける課題感や強化したいポイント、ボトルネックになっている作業を確認しておくのがおすすめです。
導入ツールを検討する
課題や強化ポイントが明確になったら、導入するツールを検討しましょう。ツールはMAだけでなく、名刺管理ツール、SFA、CRMなども対象です。MAとそのほかのツールを併用している企業も多くあります。
「課題解決のために、最も必要な機能は何か」「ビジネス全体にインパクトを与えられるか」「導入後に業務の効率化、高度化が望めるか」を考え、自社にマッチしたツールを選定します。ITリテラシーの高い人が少ない場合や、何から始めていいかわからない場合は、ヘルプ機能やサポート体制なども比較しましょう。
運用体制を構築する
MAの導入が決まったら、運用体制を構築します。運用体制を構築する際には、下記の3点に注意してください。
・リソースの確保
運用体制の構築にあたっては、まずMAの運用に必要なリソースを確保します。限られた人に負荷が集中して属人化するのを避けるため、MAの運営責任者を筆頭に、メールマーケティング、効果測定、顧客管理など、必要な業務ごとに担当者を配置できるといいでしょう。手間がかかるプロセスには、複数名の担当者を配置するのが理想です。その際には、業務ごとに責任者を決めることで、業務の抜け漏れが防げます。
・ツールの連携準備
運用体制には、ツールの連携準備も含まれます。CRMやDMP(データマネジメントプラットフォーム)などのデータ基盤、チャットボットやSMSのようなコミュニケーションチャネルなど、すでに導入しているツールがある場合は、導入を予定しているMAとの連携がスムーズにできるかどうかを確認しましょう。併せて、MAをスムーズに運用にできるよう、webサイトの構築も行っておきます。
・連携部署との役割分担
運用体制を構築する際には、営業部門やカスタマーサービス部門など、社内の連携部署との役割分担も明確にしておきます。
顧客データを蓄積する
MAが、単なるメール配信ツールになってしまうのを避けるため、営業およびマーケティングの状況を可視化できるだけの顧客データを収集し、蓄積させましょう。
顧客データの収集にあたっては、各種サーバーに蓄積されるビッグデータや自社のwebサイトのログデータなどを集約して管理するDMPや、組織データを収集・蓄積・分析して意思決定を助けるBI(ビジネスインテリジェンス)との連携もおすすめです。
顧客の行動データが不足していて状況を把握しにくい場合は、顧客に行動してもらうためのシナリオを設計して、データの蓄積から始めることもあります。
カスタマージャーニーマップを作成する
MAを活用するために欠かせないのが、「カスタマージャーニーマップ」の作成です。
カスタマージャーニーマップは、見込み顧客が自社の製品やサービスを認知してから購入するまでの流れにおいて、顧客の感情や思考の変化、およびそれに伴って起こす行動を時系列に沿って可視化したものです。
企業との接点など、さまざまな外的要因によって変化する顧客の状況を客観的、かつ視覚的に把握し、正しい判断につなげるために活用します。
カスタマージャーニーマップは、下記のような手順で作成します。
<カスタマージャーニーマップの作成手順>
- ペルソナ(典型的なユーザー像)を設定する
- ペルソナの行動を細分化する
- ステージごとに、ペルソナの心理を想定する
- ペルソナとのタッチポイントごとの施策を策定する
なお、MAはステージごとの見込み顧客の行動から購入意欲を見極めるため、見込み顧客に行動を起こさせるだけのコンテンツ量が必要です。
カスタマージャーニーマップを基に、新たに追加すべきコンテンツや強化すべきコンテンツを可視化したら、コンテンツの充実を図りましょう。
カスタマージャーニーマップについては、下記の記事で詳しく説明しています。
【関連記事】カスタマージャーニーとは?ジャーニーマップの作り方や具体的な事例をご紹介
MA提供企業のサポート体制を確認する
マーケティング担当者のスキルや知識が不足している場合は、MA提供企業のサポート体制も確認しておくといいでしょう。
アドビ株式会社が提供するMAであるMarketo Engageでは、下記のようなサポートを行っています。
・初期導入支援 - Launch Pack
「初期導入支援 - Launch Pack」では、社内で基本的なオペレーションが可能な状態を目指して、コンサルタントがMarketo Engageの基本機能をお伝えしつつ、初期キャンペーンのローンチと効果測定を支援します。
・マーケティング戦略立案支援 - Strategic Engagement Service
「マーケティング戦略立案支援 - Strategic Engagement Service」で提供しているのは、カスタマージャーニーの見直しを通じた戦略立案や、運用体制の構築といったコンサルティングサービスです。企業ごとに担当のコンサルタントをアサインします。
・システム連携開発支援 - Technical Service
「システム連携開発支援 - Technical Service」では、多様なスキルセットを持ったコンサルタントが、Marketo Engageと他社ツールの連携開発支援を行います。支援対象は、各種CRM連携開発、3rd Partyシステムとの連携開発のほか、他社のMAからのデータやコンテンツ移行なども行います。
・トレーニング
Marketo Engageのユーザー向けに、有償トレーニングを定期的に開催しています。初級・中級・上級のトレーニングがあり、ユーザーの習熟度に合わせて受講することが可能です。
Marketo Engageのサポート体制については、下記の記事で詳しく説明しています。
【Adobe Marketo Engage】企業の成功を支えるサービス&サポート
KPIを設定する
各施策の成果や費用対効果を検証するために、目標値となるKPIを設定することが運用のコツのひとつです。
KPIを設定することで、施策が成功した理由や失敗した理由が明確になります。失敗を改善し、成功を再現できる仕組みを整えましょう。KPI設定後は効果検証をして、成功要件は何か、ボトルネックは何かを見直します。施策を改善しながら、効果を最大化させるためには、KPIを設定することが大切です。
KPIの例としては、下記のようなものが挙げられます。
<KPIの例>
- メールクリック数、ターゲットとするコンテンツの閲覧数
- CVR(コンバージョン率)
- キャンペーンへの申込数
- ホットリード創出数
- 営業へ引き継いだ案件数
- 営業へ引き継いだ案件の商談化率、受注率
- 受注単価
- LTV
MAの運用を成功させるには事前準備が重要
MAは、マーケティングを自動化・効率化し、マーケティング担当者の負担を軽減できるツールです。しかし、MAは万能ではありません。「導入して終わり」「メール配信ツールとして使っているだけ」といった状態に陥らないためには、事前準備が重要です。
MAの導入を決めたら、現在のマーケティング活動を見直し、ほかのツールとも比較しながらMAの必要性を検討しましょう。さらに、導入後のサポート体制についても確認しておくと安心です。
Marketo Engageは、導入後の運用が不安な担当者のために、トレーニングやコンサルタントによるサポートが充実しています。マーケティング担当者がMAを使いこなし、MAをスムーズに運用できる社内体制を整えられるよう、Marketo Engageがサポートいたします。
Marketo Engageの運用について知りたい方は、下記のeBookをご参照ください。
次のステップ
MA分野のリーダーであるAdobe Marketo Engageについてより詳しく知りたい場合は、アドビにお問い合わせください。