MAツールと連携できるツールの種類やメリット、連携事例を紹介
MA(マーケティングオートメーション)ツールと各種ツールとの連携は、スムーズで効果的なマーケティングを行う際に欠かせないものです。
この記事では、MAツールの概要を紹介したうえで、マーケティングや営業で用いられているツールの特徴、MAツールと他ツールとの連携で得られるメリットを解説します。
また、MAツールと他ツールの連携事例も紹介するので、ぜひ参考にしてください。
目次
MAツールとは?代表的な3つの機能
MAは、これまで人の手で行われてきたマーケティングを自動化および省力化し、より効率的、効果的にするためのツールです。MAツールの機能は、大きく3つに分けられます。
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顧客情報の収集と蓄積
MAツールの代表的な機能の一つは、顧客情報の収集と蓄積です。
Webやメール、SNS、展示会で交換した名刺など、オンライン/オフラインの様々なチャネルから収集した顧客の情報を蓄積し、一元管理します。
リードの育成とシナリオの自動化
リード(見込み顧客)の育成とシナリオの自動化も、MAツールの代表的な機能です。MAツールでは、収集および蓄積した顧客情報を利用し、属性や趣味嗜好、行動履歴にもとづいて顧客をセグメントします。
そして、セグメントに合わせたシナリオを自動的に展開し、工数をかけることなく顧客一人ひとりに合わせたマーケティングを可能にします。
展開するシナリオの例は、以下のとおりです。
- 自社サイトを1週間以内に10ページ以上閲覧していれば、セミナーの案内メールを配信する
- セミナーの案内メールを配信し、反応があれば製品やサービスの紹介をする
- 半年間メールを開封していなければ、メールの配信頻度を半分にする
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施策の分析
顧客と企業が接点を持ってから購買に至るまでのプロセスは、ブラックボックス化していることが少なくありません。
MAツールを活用すれば、各プロセスにおける顧客の動きをトラッキングして可視化できるので、施策の効果を分析して適切なコスト配分が可能です。
なお、MAの基礎知識については、下記のページから無料でダウンロードできるeBookで詳しく説明しているので、ぜひ参考にしてください。
https://main--bacom-blog--adobecom.hlx.page/jp/blog/fragments/offer-marketo-dg2ma
MAツールは他ツールとの連携がおすすめ
MAツールは単体でも利用可能ですが、他ツールと連携すれば、さらに成果を高められます。情報共有がスムーズになり、部門間の連携も強化されるでしょう。
また、デジタルツールを使用すれば、ツール間のデータが自動で同期され、データ管理の手間や入力ミスも減少します。
MAツールと連携可能な「データベース系ツール」
マーケティングや営業で利用されているツールは、大まかに「データベース系」「チャネル系」「業務効率化系」の3つのグループに分けられます。ここからは、MAツールと連携可能なツールをグループごとに確認していきましょう。
まずは、データベース系ツールです。データベース系ツールは、顧客情報の管理に利用され、顧客情報の種類や利用目的によって、複数のツールを使い分けることもあります。
CRM(Customer Relationship Management)
CRMは、顧客情報の管理に特化したツールです。属人化している顧客情報をまとめて管理/可視化し、有効活用につなげます。
CRMによって、誰もが必要なときに必要な情報にアクセスできるようになれば、オペレーションの品質を落とすことなく、むしろ高めながら迅速化することができます。
最新の情報はもちろん、過去の購買履歴や対応履歴などをもとに、接点を持つべき顧客や顧客のニーズを見極めることが可能です。
コミュニケーションが最適化され、顧客満足度やLTV(Life Time Value:顧客生涯価値)の向上によるリピーターの増加も期待できます。
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SFA(Sales Force Automation)
SFAは、一般的に「営業支援システム」と呼ばれるツールです。SFAを導入すると、各営業の提案内容や進捗状況などがリアルタイムで可視化され、受注率を低下させているボトルネックや、失注した原因を見極めやすくなります。
SFAでトップセールスの事例を共有し、成功する法則を見つけ出すことで、属人化しがちな営業手法の標準化が可能です。
また、SFAはモバイルデバイスでも簡単に操作できるので、外出先から業務報告や情報共有が可能になり、営業担当者の業務効率が向上します。
さらに、管理者はどこにいてもメンバー全員の状況を把握できるので、その都度適切な指示を出せるでしょう。
CDP(Customer Data Platform)
CDPは、顧客一人ひとりに紐付く属性データや行動データを収集/蓄積/統合し、プロファイルとして管理するためのプラットフォームです。CDPを活用することで、プロファイルから抽出したデータを様々なツールと連携させて、広告のターゲティングや顧客とのコミュニケーションなどに用いることができます。
DMP(Data Management Platform)
人単位の情報管理に特化したCDPに対して、収集したデータを利用しやすいようにセグメンテーションするためのプラットフォームがDMPです。
CDPは1stパーティデータを中心に様々なデータを扱うものを指す一方、DMPは3rdパーティデータを中心としたデータを扱うものを指すことが一般的です。そのため、DMPはCDPの補完や強化を目的として利用することもあります。
CDPとDMPの違いについてさらに詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。
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企業データベース
企業データベースは、社名や代表者名、売上高、従業員数、財務状況など、企業に関する情報をまとめたデータベースです。獲得したリードの情報と企業データベースで保管するデータを併用することで、データを充実させることができます。
企業データベースは、企業の情報収集や営業リストの作成、または受注確度の高い企業をピックアップする際などに利用されます。
客観的な情報から自社にとって価値のある企業を選別し、アプローチの優先順位や効果的なアプローチ手法を決定するABM(Account Based Marketing)の実施にも欠かせません。
ABMについては、下記のページから無料でダウンロードできるeBookで詳しく説明しています。
https://main--bacom-blog--adobecom.hlx.page/jp/blog/fragments/offer-ma-create-a-winning-abm-strategy
名刺管理ツール
名刺管理ツールは、オフラインで交換した名刺をデジタル化して、簡単かつ効率的に管理できるツールです。紙での管理に比べて検索性に優れ、共有しやすいというメリットもあります。
最近では、名刺を交換した相手が異動や昇進した場合に名刺情報が更新される機能や、ツール上でメッセージのやりとりができる機能なども登場しています。
MAツールと連携可能な「チャネル系ツール」
チャネル系ツールは、顧客とコミュニケーションを取るために利用されるツールです。顧客のニーズに合ったツールを利用することで、よりよいコミュニケーションを実現できるでしょう。
デジタル広告
デジタル広告は、インターネット上のプラットフォームに表示される広告です。オフラインの広告と異なり、表示された回数やコンバージョン率などを正確に測定できます。
また、特定のセグメントだけに広告を表示するといったように、顧客データを利用した施策も可能です。
SMS
SMSは、特別なアプリを利用せず、携帯電話の番号を使ってメッセージをやりとりできるサービスです。
MNP(Mobile Number Portability)によって、携帯電話会社が変わっても同じ番号を利用できるようになったこともあり、メッセージの到達率は高い傾向があります。
LINE
LINEは、世代や性別を超え、幅広い層が利用しているツールです。企業や店舗の公式アカウントを作成し、独自の発信で「友だち」を増やすことがリードの増加につながります。
タイムラインへの投稿をはじめ、商品情報やクーポンの配信などによって、一人ひとりの購買意欲を高めることができるでしょう。
チャットボット
チャットボットは、webサイト訪問者や問い合わせに自動で応対してくれるAIコミュニケーションツールです。
24時間フル稼働で対人対応よりも気軽にやりとりができるので、顧客の行動パターンやニーズなどの情報を収集しやすいというメリットがあります。
ウェビナーツール
ウェビナー(webセミナー)ツールは、セミナーや説明会などをオンラインで開催するときに利用するツールです。
参加者は、自社および自社の製品やサービスに一定の興味を持っていることが多いので、その後のコミュニケーションによっては受注につながりやすいでしょう。
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DM(ダイレクトメール)
MAツールは、デジタルツールだけでなく、紙媒体のDMとも連携可能です。紙媒体のDMは、インターネットの普及前はもちろん、現在でも頻繁に利用されています。
郵送コストはかかるものの、一度は手に取ってもらえる可能性が高いので、顧客やオファー次第ではデジタルツールより効果的なケースもあります。
MAツールと連携可能な「業務効率化系ツール」
業務効率化系ツールを導入すると、業務の属人化を防いだり、作業時間を短縮したりすることが可能です。具体的には、以下のようなツールが挙げられます。
BI(Business Intelligence)ツール
BIツールは、企業に蓄積されたデータを収集/抽出/加工し、経営上の意思決定などに役立てるためのツールです。
BIツールで膨大なデータを精査し、意思決定の迅速化や高精度化を目指します。
コミュニケーションツール
SlackやChatworkなどのコミュニケーションツールでは、業務連絡やデータのやりとりをチャット形式で行えます。
コミュニケーションのプロセスを追いやすく、検索性にも優れていることから、メールに代わるチームコミュニケーションツールとして多くの企業で導入されています。
MAツールと各種ツールとの連携で得られるメリット
ここまでご紹介したデータベース系、チャネル系、業務効率化系のツールを既に利用している場合、MAツールと連携することでどのようなメリットが得られるのでしょうか。
ツールのグループごとに見ていきます。
データベース系ツールとの連携メリット
MAツールとデータベース系ツールの連携には、下記のようなメリットがあります。
- 顧客データを分析し、アプローチする優先順位を明確にできる
- 顧客データを分析し、パーソナライゼーションやコミュニケーションに利用できる
- 企業にとって価値のある顧客を効率的に見つけられる
- カスタマージャーニーを把握し、効率的なマーケティングプロセスを考案できる
- オンライン施策の貢献度をオフラインの売上に紐付けて測定できる
データベース系ツールに蓄積したデータをMAツールで分析することで、マーケティングの効率化が可能です。
チャネル系ツールとの連携メリット
MAツールとチャネル系ツールの連携には、下記のようなメリットがあります。
- メールと他チャネルを組み合わせたマルチチャネルのシナリオ設計ができる
- チャネル上での行動履歴を追い、ブラウザーをまたいでユーザーをトラッキングできる
「メールに反応がない場合は、より到達率の高いSMSでアプローチする」といったように、チャネルを横断したマーケティングが可能です。
また、デジタル広告のプラットフォームと連携できるMAツールもあります。
例えば、Googleと連携してユーザーに合う広告を出稿したり、Facebookと連携して広告から資料請求を受け付ける際に、Facebook上のデータを利用したりすることができます。
業務効率化系ツールとの連携メリット
MAツールと業務効率化系ツールの連携には、下記のようなメリットがあります。
- マーケティングのPDCAを加速させられる
- 顧客情報をよりスムーズに共有できる
BIツールで把握した改善点をもとにMAツールに施策を実装し、さらにその結果をBIツールで分析するなど、人の手では時間がかかる作業を効率化し、マーケティングの精度を向上させます。
MAツールのスムーズな連携を実現するAPI連携
MAツールと他ツールを連携する方法の一つに「API」があります。APIとは「Application Programming Interface」の略で、異なるツールやwebサービス同士をつなぐインターフェイス(接続部分)のことです。
API連携の具体例は、以下のとおりです。
- Webサイトのログイン認証にSNSのアカウントを使用する
- 顧客とのコミュニケーション情報を異なるツール間で共有する
このように、API連携を活用すれば、新たなアプリを開発することなく、ツール同士を簡単に連携できます。その結果、開発にかかるコストも削減可能です。
ただし、MAツールによってはAPI連携に対応していないものもあるので、事前に確認しておきましょう。
アドビのMA「Adobe Marketo Engage」なら各種ツールと容易に連携可能
アドビが提供する「Adobe Marketo Engage」は、豊富な機能を搭載したMAツールです。他ツールとの連携を前提に構築されており、API連携はもちろん、そのほかの方法での連携も可能です。
例えば、CRMとはネイティブ統合を活用し、マーケティング部門と営業部門のデータをシームレスに同期できます。
これにより、マーケティング担当者が営業担当者に顧客エンゲージメントに関するデータを提供し、パフォーマンスの向上につなげられるでしょう。
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Adobe Marketo Engageと様々なツールとの連携
https://main--bacom-blog--adobecom.hlx.page/jp/blog/fragments/offer-003287-product-marketo-engage-jp
Adobe Marketo Engageと各種ツールとの連携事例
最後に、MAツールと各種ツールの連携に関する3つの事例を紹介します。
ヤプリ:Salesforceとの連携でリード精査が確実かつスピーディーに
スマートフォン用アプリの開発から運用、分析まで、アプリに関するすべてのサービスを企業向けに提供する株式会社ヤプリ。プログラムの知識がなくても簡単にアプリを開発できる点が評価され、多くの企業が導入し、順調に事業規模を拡大してきました。
一方で、事業拡大と並行して課題として浮上したのが顧客開拓です。同社では、オンラインやオフラインで獲得したリードに、インサイドセールスが営業を行う手法で顧客を開拓してきました。しかし、ナーチャリングの途中で離脱したリードはそのままになっており、マーケティング部門は常に新規のリードを供給し続けなければなりませんでした。
そこで、放置されていた大量のリード(ハウスリード)の再育成に着目します。リードの再育成のためにも、MAツールをSalesforceと連携可能なAdobe Marketo Engageに切り替え、受注までのプロセスを改善することにしたのです。
Adobe Marketo Engageの導入後は、半年足らずでハウスリードをナーチャリングして、商談まで行えるプロセスを構築。
リードをAdobe Marketo Engageに登録すると、企業データベースとの連携で業種と企業規模を判定し、条件を満たす場合に有効リードのフラグを立てる仕組みを作りました。
この仕組みにより、これまで手作業で行っていた受注確度の高い企業へのフラグ設定の自動化にも成功しました。
Wovn Technologies:Zoomとの連携でウェビナーにかかる工数を削減
企業のwebサイトやアプリを多言語化する「WOVN.io」や「WOVN.app」を開発、運営するWovn Technologies株式会社。
当初は別のMAツールを導入していましたが、リード獲得は展示会などオフラインの場に限定され、MAは獲得したリードへのメール配信ツールのような位置付けになっていました。
また、そのMAツールにはファネル構築の定義に制限があったり、LP(ランディングページ)作成時にコーディングが必要だったりと、機能性や拡張性にも課題がありました。
こうした点を改善するため、マーケティングプロセスのステージを自社で定義でき、施策ごとに効果測定ができるAdobe Marketo Engageへの切り替えを決定します。
営業がランダムに入力していたSalesforceのデータを整備して集約し、Salesforceと連携したほか、以下のようなことも行いました。
- ウェビナーツールとの連携:Salesforce上でインサイドセールス向けのToDoを自動発行し、イベントに関わる工数を削減
- コミュニケーションツールとの連携:インサイドセールスがリアルタイムでフォローできる環境を構築
- 企業データベースとの連携:新規リードのデータを整理し、同一人物のデータを統合する名寄せを実現
その結果、月に6、7回ほど開催している自社ウェビナーにおいて、告知コンテンツの作成からサンキューメールの送信までにかかる時間を、約3分の1に短縮することに成功。
外部イベントで獲得した大量のリードリストのインポート作業にかかる時間も、従来の約2分の1となったほか、Salesforce上で作成されるリードのアサインも全自動化されました。
飛躍的な効率化を実現したWovn Technologiesの事例については、下記の記事で詳しく紹介しています。
【導入事例】
レバレジーズ:複数ツールとの連携でアイデアを形に
2005年にシステムインテグレータとして設立後、ITやweb、医療、人材紹介、人材派遣、人材メディアなど、様々な事業を展開しているレバレジーズ株式会社。
当時のメール配信ツールでは、SQLのデータベースから抽出したCSVデータを使用。毎回CSVデータをメール配信ツールにインポートし、配信先リストを作成する手間がかかっていました。
そこからさらに、コンテンツを設定してテスト配信をしていると、1週間のほとんどの作業時間がメールの配信作業に取られてしまいます。これらの課題を解決するには、メールマーケティングを自動化し、ほかの施策に取り組む時間を捻出する必要がありました。
また、第二新卒などの若年層向け就職支援サイト「ハタラクティブ」の登録者数は増加していましたが、担当者との面談に進まない歩留まりが課題となっていました。
そこで導入したのがAdobe Marketo Engageです。CDPやBIツール、SMS配信ツール、チャットボット構築プラットフォームなどと連携して活用することで、課題解決を図ったのです。
例えば、ハタラクティブに登録後、面談予約を取らない人には来社促進メールを送ります。面談予約後はSMSやLINEなど、複数のチャネルでリマインドを出し分けて、面談のキャンセルを阻止する施策も行いました。
その結果、面談の予約獲得率を1.25倍まで押し上げ、歩留まりの改善に成功。課題であったメール配信にかかる工数も、約5分の1となりました。メール配信の最適化と自動化によって、ほかの施策にかけられる時間も確実に増加しています。
レバレジーズの事例については、下記の記事で詳しく紹介しています。
【導入事例】
ツールの連携でビジネス成果を向上
MAツールを単なるメール配信ツールとして使うのではなく、その実力を最大限引き出すには、各種ツールとの連携が欠かせません。
Adobe Marketo Engageなら、手順を理解すれば、誰でも簡単に他ツールと連携できます。自社の課題を明確にし、解決に何が必要かを見極め、より最適な環境を構築しましょう。
なお、Adobe Marketo Engageとの連携が可能なテクノロジーパートナーは、下記のページでご確認いただけます。
パートナー:Exchange (旧テクノロジーパートナー/Launchpoint)
【テクノロジープロバイダーの方へ】
Adobe Marketo Engageと連携するサードパーティ製品の認定制度は、Adobe Exchangeへと変更しました。引き続き連携製品としての掲載をご希望のテクノロジープロバイダーの方は、以下をご覧ください。
Adobe Exchangeへの加入方法について見る(USサイト)
【ユーザーの方へ】
Adobe Marketo Engageと連携するサードパーティ製品の最新情報は、以下をご覧ください。
(公開日:2022/11/30)